10月13日 山元町 宮城県が”風力発電の導入”を断念 住民たち「砂浜の自然守られた」

DSC_0654.JPG宮城県は山元町の海岸に最大12基の風車を建設する風力発電を導入する計画を進めてきた。冒頭の写真は完成予想、宮城県作成の資料から。ところが、事業者(候補)に選定されていた東急不動産が9月「採算が見込めない」と辞退を申し入れたという。取材に対して、東急不動産は広報室を通じて「当社としては事業採算性を考慮して、見送る判断をさせていただきました」というコメントを明らかにした。

計画によると、山元町のおよそ3キロメートルの海岸の、波打ち際から50メートルほどの浅瀬に最大で12基の風車を建設するというもの。昨年、公募で東急不動産を事業者に選定し、2025年4月の運転開始を目指して、関係する行政機関や地元の区長からなる地域協議会で議論を続けてきた一方、8月には住民説明会を開いた。
住民たちからは震災で大きな被害を受けた砂浜の自然が回復してきたが、この貴重な自然が工事で損なわれる。50階建てのビルに相当する巨大な構造物が海岸を塞ぐことになり、震災の痛手からようやく立ち直りつつある住民にストレスを与えるなどの声が上がっていた。
DSC_0646.JPGDSC_0651.JPG写真上:住民説明会(8月21日)。下:風車の想定規格(東急不動産作成の資料から)。
東急不動産は断念した詳しい根拠は明らかにしていないが、事業を担当する宮城県の再生可能エネルギー室の担当者はこう説明する。

〇事前の準備のための地盤調査などをすすめているなかで、発電設備の建設単価が当初の想定を上回ると判断したのではないか。 〇採算性をあげるには風車の数を増やすなどの変更が必要だが、建設可能な区域をこれ以上拡げるのは難しい。 〇国の固定買い取り制度・FITの売電書価格が下落していることなどから、新たに事業者を募集しても希望する企業は見込めない。
このため、山元町への風力発電の導入は断念することとなった。山元町の住民には11月の町の広報誌などを通じてお知らせするという。

風車の規模は当初の宮城県の計画では高さ150メートル程度とされていた。ところが、東急不動産が明らかにした計画では高さは195メートルと大規模化していた。この点について東急不動産は充分な発電効率をえるにはこの程度の高さが必要と説明していた。また、住民説明会でも「風車の規模や、基数については現在想定しているのが最大で、それ以上の規模にすることは考えていない。事業計画の見直しもありうる」と、含みのある説明もしていた。

宮城県がこの事業の検討を始めたのは4年前。地球温暖化防止のため、再生可能エネルギーの導入に反対する声はない。むしろ歓迎する声が支配的だが、肝心の採算性を充分に検討したのかどうかは検証が必要だ。
DSC_0611.JPG写真:建設予定の砂浜で住民たちがスナガニ調査をした(8月3日)。
計画に異を唱えてきた住民グループ「山元町震災復興 土曜日の会」のメンバーで東北工科大学名誉教授の田代侃(かん)さんはこう話す。
「ようやく再生した山元町の砂浜が守られることになり、ほっとしている。風力発電の導入には必ずしも反対するものではないが、今回のように波打ち際に建設する計画には無理があったのでないか。山元町の海岸の豊かな自然は未来の世代に受け継いでいかなければならない大切な宝であり、海岸清掃などの事業はこれからも続けていきたい」(了)

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