10月13日 Intermezzo 仙台シンフォニエッタ 台風の余波の中モーツアルトの調べ ”災害と音楽”を考える

DSCN3499 (002).JPG13日が仙台シンフォニエッタの第43回定期演奏会だった。私はこの団体の代表だ。前日、12日夜にはゲネプロ=舞台総練習も予定されていた。台風19号が接近していた。予定通りやるかどうか悩ましかった。仙台管区気象台に取材した。「12日夜が仙台周辺は風雨とも強い。出歩かない方がいい。オケ練習を予定しているなら楽器濡れます。止めた方がいい。13日は急速に回復します」との回答。
演奏会の事前PRも、これまでになくやった。聴衆に中止を伝えるすべもない。選択肢はなかった。前日のゲネプロは中止、13日の演奏会は予定通り決行と決めた。
13日は朝からやや風があるが晴れた。10時過ぎからステージリハーサル。事前のソリストとの合わせが極限まで少なかったが、かえってオケの集中力もましたのかも。
今回はオール・モーツアルトのプログラムだった。デイヴェルテイメント、K136で幕を開けた。ミニコンサートなどで弾きなれた曲だが、原典版の譜面を使い新鮮だった。

続いて、ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲、K364.
DSCN3495 (002).JPGDSCN3502.JPG写真上:左・小山あずささん。右・梅田昌子さん。写真下:菅 英三子さん。
ヴァイオリンは小山あずささん。仙台フィルの最年少の奏者だ。ヴィオラの梅田昌子さんは10数年来、私たちのトレーナーを務めている仙台フィルのメンバー。自由に飛翔する小山さんのヴァイオリンと、ときには深く静かな世界へ降りていく梅田さんのヴィオラがみごとな二重奏を繰り広げた。とりわけ、2楽章のカデンツアに「うるっと」したのはわたくしだけではなかったと思う。
この曲、私たちは過去2回やっているが、今回3回目が最高の出来だった。

後半はまず、デイヴェルテイメントK137、と138。3曲とも違った趣きで書かれている。特に変ロ長調の137。これほど奥行きのあることに初めて気づかされた。マエストロ、日比野裕幸さん独特の指導のなせるわざである。

ラスト・プロはモテット「踊れ、喜べ、幸いなる魂よ」 K165.ソプラノ協奏曲ともいえるこの曲。ソリストは国際的な活動を続けてきた菅英三子さん。東京芸大の教授でもあり超多忙な方だ。私とは、同じ日本キリスト教団仙台北教会の会員である。「だめもと」でお願いしたら、この日だけ奇跡的にあいているという。快く引き受けて下さった。感謝である。
素晴らしい歌声がホールに響き渡った。事前の合わせが午前中だけというのに、つたない私たち、オケに合わせてくれているのではと思うほどの微動だにしない歌声だった。最終楽章は「ハレルヤ=主を賛美せよ」という言葉だけで歌われる。感動のうちに終わった。

アンコールに応えて、ヘンデルの「ラルゴ=オン・ブラ・マイフ」。素晴らしい歌声に聞きほれて、途中入り損ねたパートもあったがことなく終わった。

会場の東北大学萩ホールには、250人余の方々がいらっしゃった。台風の余波のなか予想を上回る人数だった。同時刻にはすでに各地で台風の被害が出ていたことに胸が痛む。しかし、少なくともお出でになった方々には私たちの演奏が元気と希望を与えたに違いないと信じたい。
K10012131581_1910150136_1910150457_01_04[1].jpg写真はNHKオンラインから。
台風19号のつめ跡の大きさは日を追って明らかになりつつある。あのさ中に演奏会をやったことに迷いがない訳ではない。(本稿を書いているのは15日)東日本大震災の直後も同様の想いを抱いた。「音楽をやっていていいのだろうか?」。しかし、音楽は人々に希望をもたらすものでもあることに気付き、被災した老健施設などでボランテイア演奏を続けた。
日本はまさしく災害列島、私たちはその住民だ。大川小学校の遺族でつくる「大川伝承の会」共同代表の佐藤敏郎さんの言葉をこう言い換えてみた。
「災害のない未来をつくることはできないが、希望のある未来をつくることはできる」音楽はその一翼を担う。そう信じて歩みたい。(了)

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