8月2日 仙台港 新たなバイオマス発電計画 環境悪化を心配する住民から撤退要求の声

DSC_0679.JPG仙台港に住友商事が11万2000kwのバイオマス発電所・(仮称)仙台高松発電所を建設する計画だ。この説明会が隣接する多賀城市で開かれ、およそ70人の住民たちが出席した。当初、この発電所は四国電力と共同で石炭を主燃料に、木質バイオマスを30パーセント程度混焼する方式で計画された。これに対して仙台市が木質燃料の割合を増やすなどの意見書を付けた。
昨年4月、四国電力が撤退を表明。住友商事の対応が注目されたが、バイオマス専焼方式に切り替えた新たな計画を表明した。計画によると、年間50万トンの木質燃料を燃やし、2020年度中に着工、2023年度後半には営業運転を開始するという。電力は全量東北電力に売電する。
説明会で会社側は木質燃料を燃やすので「カーボンニュートラル」なクリーンなエネルギーだと強調した。CO2を吸って成長した木材を燃やすのだから、温暖化の原因となるC02の総量は増えないという。

こうした説明に会場からは疑問の声が相次いだ。
DSC_0674.JPGDSC_0672.JPG〇クリーンをうたうのならなぜ太陽光や、風力発電ではないのか。 〇震災の被災地、仙台に立地する理由はなにか。〇燃料はどこから調達するのか。こんな疑問が出された。

これに対して、会社側は「太陽光や風力は発電量が安定しない。バイマス発電は24時間操業で北海道で起きたようなブラックアウトを防止できる。仙台周辺は送電網や燃料荷揚げに必要な港湾設備が整っている。雇用拡大などで地域貢献をしたい」こう答えた。
また、燃料は北米から輸入する木質ペレットを主に使い、東北産の木材チップも使いたいと説明した。

宮城県が先ごろつくった「地球温暖化対策実行計画(中間案)」では、バイオマス資源の輸入には輸送時の効果ガスの排出などの問題があり、地産地消・地域主導にこだわると謳われている。
この点にも疑問が集中した。
DSC_0675.JPG会社側は燃料の輸入・搬入で年間20万トンのCO2を排出することを明らかにし、同規模の発電を石炭などで行った場合に比べ排出量は40数万トン少ないので差し引き20万トンの削減になると説明した。

しかし、これはあくまでも化石燃料を使った場合を想定した試算だ。ゼロの状態から発電した際の仙台港での排出ガスがマイナスとなる訳ではない。
会社側もこの点を認め「排出され大気質は引き算ではなく、足し算つまりプラスになる」と述べた。
さらに、塩釜市在住の医師、水戸部秀利さんが「健康被害の恐れはぬぐい切れない。その場合は撤退するか」と迫った。
これに対して会社側は「健康被害の恐れを示す数値が出、それが当社に起因する場合は撤退する」こう明言した。
DSC_0680.JPG写真:操業続ける仙台パワーステーション。
仙台港では多くの住民の反対を押し切って、一昨年石炭火力発電所・仙台パワーステーションが操業を開始した。毎日、その排煙を眼にしている仙台市宮城野区の主婦がこう訴えた。
「毎日立ち昇る煙りを見て洗濯物を外に干していいのかちゅうちょするようになりました。ここに暮らす私たちにとって景観・景色は建物だけではなく、日々立ち昇る煙りも大きな要素です。周辺ではさらにもう1か所バイオマス発電所が計画されています。さらに煙突が2本、3本と増える光景を孫子に残す訳にはいきません。地域住民のことを全く無視した計画は認められません。撤退して欲しい」。
会場はしーんと静まり返った。住民の願いを端的に表したものだからだ。

石炭からバイオマスに変わったからといっても、住民の失望や怒りは収まらない。「仙台港の石炭火力発電建設問題を考える会」では被災地に発電所立地が相次ぐのは、震災で地価が下がったのも一因ではと見ている。
「災害便乗ビジネス」と見られないためにも、企業は撤退を含めた見直しを決断すべきである。(了)
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