11月1日 石巻市 今なお床が抜けかけた家に住み続ける被災者~修繕の後押しは?

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孤立した被災者を支援する「災害ケースマネジメント」活動に取り組む、石巻市の一般社団法人「チーム王冠」と仙台弁護士会の訪問調査に同行した。被災者の個別の事情に即した支援・救済策を考えて提供する活動である。向かったのは大川小学校の上流、北上川の右岸にある石巻市針岡の佐藤与次郎さん(87)の自宅だ。
佐藤さんの家は平屋建て。北上川から2キロあまり内陸にあるが、富士沼を越えて押し寄せた津波でひざ丈まで床上浸水した。大規模半壊と判定されたが、佐藤さんは震災直後から修繕した自宅で住み続けている。

調査には「チーム王冠」の伊藤健哉代表と建築士の資格などを持つ2人のメンバーと、仙台弁護士会災害復興特別委員会の中尾健一弁護士の4人があたった。
佐藤さんは24年前に奥さんを亡くし一人暮らし。震災後の修復作業などでひざを痛め家のなかでも手押し車が欠かせない。しかし、ネコの小太郎くんを相棒に、若い頃は柔道三段で各地の競技会に出たとか、炭焼きにも精を出したなどの昔話を、年齢を感じさせない大きな声で話し屈託ない。

玄関や表の壁、サッシなどは修繕して新しくなったが、部屋の中は天井の一部が抜けたままになっているなど修繕しきれない箇所が残る。
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寝室や仏間など暮らすのに欠かせないスペースは、一部畳を取り換えじゅうたんを敷き直した。一見支障ないようだが、歩くとあちこち床が沈み込む。建築士のメンバーによると、床を支える根太(ねだ)が震災当時はまだしっかりしていたが、潮水をかぶり7年経って腐り始めているためだ。いつまで保つか心配だという。
心配なく暮らし続けるには床を張り替える必要があり、300万円程度かかるという。

佐藤さんはこれまで被災者に支給される生活支援金100万円の他、応急修理制度の52万円を利用した。赤十字を通じた義援金を含め、公的な支援金は300万円だが、月9万円程度の年金暮らしではこれ以上修繕費をねん出するのは難しい。

支援チームは高齢者向けの災害復興住宅融資の利用を提案した。
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リバースモーゲージローンと呼ばれるこの融資制度は熊本地震の後つくられた。60歳以上であれば年齢を問わず、土地・建物の評価額の85パーセントまで融資を受けられる。年利は2,06%(10月現在)、月々の返済は利子分だけというものだ。

100万円の融資だと月々の返済は1500円、200万円だと3000円だと支援チームは説明した。
石巻市内に住む次女にはすでに説明しており、佐藤さんもこの融資を利用することに同意した。支援チームが申請に向けた準備に取り掛かることになった。

佐藤与次郎さんのように震災直後、自宅での避難を選択した被災者は「在宅被災者」とされ、応急修理制度などを利用すると「自宅がある」との理由で、原則として仮設住宅や災害公営住宅に入居できないなど公的支援に壁がある。
「チーム王冠」などは、こうした在宅被災者は宮城県では4万3000世帯、石巻市だけでも1万3000世帯にのぼると推計している。一方、宮城県は6万世帯という推計値を示したことがある。行政が実態調査をしていないため実数ははっきりしないが、在宅被災者がかなりの拡がりをもつのは間違いない。
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写真;左;伊藤健哉代表、右;中尾健一弁護士。
中尾弁護士はこう話す。
「震災関連の公的支援制度は複雑で理解が困難なものが多い。一人の置き去りを許さないためにも、個々の事情に応じた支援策を考える災害ケースマネジメントが欠かせない」。
また、伊藤代表はこう指摘する。
「佐藤さんのように私たちが支援できているのは氷山の一角にすぎない。国はようやく在宅被災者の存在に目を向け始めたが、今なお助けを求めている被災者の声に自治体は応えるべきだ」。(了)

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