9月25日 仙台市蒲生干潟  ”防潮堤 もっと内陸へ移設を!”~宮城県の案に異論相次ぐ

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国の特別鳥獣保護区に指定されている、仙台市宮城野区の蒲生干潟。七北田川を挟んで南側まで高さ7,2メートルの防潮堤が完成している。宮城県は蒲生海岸にも高さ7,2メートルのコンクリートの防潮堤を建設する計画だ。当初、防潮堤はこれまであった堤防とほぼ同じ場所に建設する計画だった。台形の防潮堤は底辺が40メートル余と広く、一部干潟にかかる。宮城県は防潮堤を内陸側に20~30メートル「後引き(セットバック)」する見直し案をまとめ、「蒲生干潟自然再生協議会」の意見交換会で明らかにした。
協議会は自然保護団体や、生物学や工学の研究者、行政機関などをメンバーとする。
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席上、宮城県は急速に回復しつつある動植物の生息域に、極力影響を与えないよう配慮したと見直し案を説明した。これに対して出席者からは、国際的にも知られる蒲生干潟の自然環境を守る上で、見直し案では不十分だという指摘が相次いだ。

○「蒲生を守る会」の熊谷佳二さんはこう述べた。
蒲生干潟の自然環境は背後に拡がる湿地や、松林、ヨシ原、養魚場などに支えられている。背後の環境を抜きには考えられない。例えば、絶滅危惧種に数えられているアカテガニは、干潟と背後の林を往復して生息している。この程度のセットバックでは、巨大なコンクリートの構造物が干潟と後背地を分断することになる。

○東北学院大学の平吹喜彦教授(地域構想学)は、干潟の背後に拡がる海岸林や湿地など、海岸エコトーンは一体としてとらえるべきだ。防潮堤は貞山運河の西側まで移す必要があると主張した。
○東北大学の鈴木孝男助教(生物学)も、防潮堤は干潟の汽水環境に必要な、淡水の供給源を断ち切るおそれがある。ヨシ原も多くの生物の生息域となっており、再生・保護が必要だと指摘した。
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写真上;宮城県が公表した見直し案。下:防潮堤のイメージ図。
干潟の背後地、北蒲生地区では仙台市が区画整理事業をすすめており、この点にも議論が集まった。
○東北大学の西村修教授(環境工学)は、干潟に隣接した区域での区画整理事業は自然環境保護に配慮してすすめるべきだ。誘致する企業にも環境保護への配慮を求めるのが当然だ。こう述べた上で、蒲生地区に残る貞山運河跡を歴史遺産として活用するよう求めた。

蒲生地区には、江戸時代に仙台藩の経済を支える米の流通ルートだった貞山運河や、積み荷の米中継地・「舟溜まり」などがあったが、昭和40年代に始まった仙台新港の開発で埋め立てられた。多くの出席者が貞山運河を再生し、公園化するよう求めた。
これに対して仙台市の担当者は、貞山運河や舟溜まりは「文化財包蔵地区」つまり、遺跡に指定されていることを明らかにした。区画整理事業とは切り離して文化財としてどうするかの議論が必要で、復元などについては将来的に可能性が残されていると述べた。

「まず人間を守る必要がある」と防潮堤建設を認める発言が一部にあったが、全体としては見直し案に対する異論が相次いだ。
これに対して宮城県土木部の久保田裕次長は「背後地も含め、環境保護や、防災の観点からどうすべきか各方面の意見を聞き、よりよい方向を探りたい」こう答えた。一方で「事業が河川堤防の復旧である以上、これまでの堤防の位置から大きくずらすのは難しい」とも述べ、計画見直しには消極的な姿勢をにじませた。

蒲生地区については、地元の中高生たちが緑の防潮堤をつくり、歴史や自然、防災をも学べる地区にしたいというプランを行政側に提案している。急速に再生しつつある干潟の動植物だけでなく、こうした夢を埋め立てることのないよう、柔軟な対応を行政側に望みたい。(了)


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