9月20日 仙台市三本塚  熟議の住民たち 行政に申し入れ~コミュニテイ・農業の継続に支援を!

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仙台市若林区三本塚。この日、町内会の代表が仙台市役所を訪れ、地域再生に行政が積極的に支援するよう要望書を提出した。三本塚町内会の小野吉信さん(62)はじめ、住民代表ら8人が仙台市復興事業局を訪れ行政側に住民の意思を伝えた。
若林区三本塚地区は仙台平野のほぼ中央に位置する。100世帯余、およそ300人が住んでいた。かつては農家がほとんどだったが、今はサラリーマン世帯が多い。2~3メートルの津波に襲われたが流されなかった住宅が多い。移転を促す災害危険区域からは外れている。
22世帯が元の場所に住んでいる。意向調査では60パーセントの住民が元の場所に戻りたいと答えた。しかし、若い世代を中心に内陸部への移転を希望する住民も多い。地域への愛着から三本塚を離れたくないが、同じ地域内でより内陸へ近い区域への移転を希望する住民もいる。住民の希望は三通りに分かれている。住民たちはお互いがばらばらにならず、地域としての総意をどう作り上げるかに腐心してきた。

要望書の柱は3つだ。
○現地再建する人にも地区内移転を希望する人にも格差の内公平な支援を行うこと。
  地区内ではお互いに農地を交換して、より安全な区域への移転を希望する住民がいる。農地を住宅地に整備す  る事業を自力で進めることは難しい。造成への支援や、上下水道などライフラインの整備を行政が行うべきだ。
  さらに、新たにローンを組むのが難しい高齢者のため、地区内に戸建ての災害公営住宅を建設してもらいたい。

○現地の安全を確保し、住みやすい環境に改善すること。
  現地で住むことが可能だが、どんな安全策を取るのかほとんど示されていない。集会所を兼ねた2階建の避難   施設や、高齢者が歩いて避難できる施設を整備してもらいたい。

○専業農家も兼業農家も、多様な農業経営が持続・発展できる施策をつくり、支援すること。
  都市近郊のこの地域では、専業農家が減り、地域農業のかなりの部分が兼業農家に支えられている。当ブログ
  7月14日の項で紹介した通りだ。その兼業農家が現在進められている、大規模圃場整備で減少するおそれが  ある。小規模の農家でも農業を再生できるよう支援してもらいたい。
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写真は要望書を提出した住民たち。2、3枚目は住民たちが開いたワークショップである。(2012年3月)
被災地をどう再生させるか。行政側が集団移転事業を進める地域だけでなく、それ以外の地域でも住民の意向は一様ではない。移転を希望する住民、現地で再建を希望する住民。経済的な事情の違いや、地域への愛着の濃淡、津波への備えをどう考えるか。住民が生活再建にどのような途を選択するのか、多様であるのはごく自然なことである。
多くの場合住民たちは別々のグループで行政などとの交渉を続けている。元は同じ町内に住んでいたのに移転派、現地再建派と分かれ、住民同士が角をつき合わせる不幸なケースもある。三本塚地区はそうした事態を慎重に避けてきた。
有志で作った「明日の三本塚を考える会」を中心に、ワークショップ=学習会を重ねてきた。すでに6回を数える。テーマは地域の未来をどう思い描くか、地域農業をどう再生させるかである。様々な考えを持つ住民が意見を交わしてきた。グループ討議をし、それぞれが討議結果を報告し合う。年配の方々がマイクを手に討議のまとめを発表する光景は感動的ですらあった。
「もの言わぬ東北人」という思い込みは改めねばと思った。

東北大学や東北工業大学の研究者などが、サポートを続けているのも大きい。しかし、「三本塚には、何かがあるとまとまれる、集合的な合意を創っていくことができる実力がある」(石井山竜平・東北大学準教授)サポーターにこう言わせるのは、何といっても住民たちの熟議である。
要望書は住民たちの熟議の結晶である。「第一次」とあった。住民の総意を次々と行政にぶつけたいという意欲がこめられていた。

応対した、仙台市復興事業局の鈴木三津也(みつや)復興事業監。(下の写真)
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住民が主体で行政がサポートする。これが被災地の再生を考える上で、基本中の基本だ。鈴木復興事業監の理解ある(?)回答にやや驚かされた。
海岸防潮堤や防潮林をどんなスケジュールで建設するのか、避難施設をどう整備するのかなどについて、住民に充分説明してこなかった。住民がどんな将来を選択するかを考える上で、基本となる情報だ。
反省の言葉こそなかったが、それに近いニュアンスがあった。来月早い機会に文書で回答することを約束した。

地域の未来は住民自身が考える。三本塚の住民たちは間違いなく、住民自治の途を歩んでいる。、住民たちのこの後の歩みも眼が離せない。記者クラブに事前に知らせていたというが、この日メデイアの取材はなかった。(了)


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この記事へのコメント

福島かずえ
2012年09月24日 23:57
こんばんわ。いつもお世話になっています。この三本塚の記事を、さすが!上手にまとめていらっしゃるので、勝手ながらあちこちに紹介しています。10月20日に和田地区も含めた蒲生北部地区の住民の皆さんの、「移転派」も「現地派」も、両方集まってもらう懇談会を中野新町集会所で18時30分から行います。うちの高見のり子市議の呼びかけです。松舘さんもぜひ、お越しください。
松舘
2012年09月25日 12:32
福島さん、PRいただきありがとうございます。10月20日は是非うかがいます。

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