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zoom RSS 6月6日 仙台市新浜 多様な生物と共生・「仙台メダカ米」の田植え

<<   作成日時 : 2017/06/07 15:05   >>

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仙台市宮城野区新浜地区、4年前から「メダカ米」の栽培に取り組んでいる「遠藤環境農園」の水田で、ひと月ほど遅い田植えが行われた。農薬を一切使わない水田にメダカを放して泳がせ、安全・安心なだけでなく、仙台平野に根付いていたはずの生物多様性とも共生した米づくりを目指すのが「仙台メダカ米」。
田植えが遅いのには訳がある。仙台平野では5月の連休前後から田植えが始まり、5月20日頃までには終わっている。メダカ米の栽培では、深水管理がポイントの一つ。常に深さ10センチ程度の水が必要だという。
農園を主宰する遠藤源一郎さん(65)は言う。東日本大震災の翌々年、2013年に仙台市の八木山動物公園長を最後に退職した、元仙台市職員である。
「田んぼの水が5センチ程度になると、たちまちイヌビエがはびこる。除草剤を使わないので雑草を抑えるには深水が欠かせない」。
深水に適応するよう稲の苗は通常より大きく、15〜20センチ程度に育てなければならない。その分田植え時期が遅くなる。

苗も通常より広く、30センチほど間隔をとって植える。一度に植える苗も1〜2株で通常の半分。こうすると風通しがよくなり、イネが太く、丈夫に育つという。大きく育てた苗を、低密度で植えることが大事だという。


水田の大区画化に対応して、田植え機は大型化しているが、この日活躍したのは3輪で4条植え。今では珍しい小型の農機だ。遠藤さんの甥、山田良一さん(40)が田植え機を動かした。かつての職場の仲間、阿部秀夫さん(64)も応援に駆け付け、3人が作業にあたった。
田植え機の後部に取り付けられたボックスから撒かれるのは、化学肥料ではなく米ヌカと大豆を粒状に固めたペレット。田んぼの養分を補給するだけでなく、雑草が生えるのを抑える働きをする。

今年の作付面積は、遠藤さん所有の水田17アールと,岡田生産組合を通じて借りた南蒲生地区の30アールだけ。昨年に比べ4分の1程度に減った。新浜地区の水田が今年、従来の区画を90アール前後まで大きくする圃場整備事業の対象となり、ほとんどの水田が耕作できないためだ。
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写真上;散布ボックスにペレットを積み込む。下;大きく育てた苗を低密度で植える。
遠藤さんがメダカに注目したのは、八木山動物公園の園長をしていた震災の翌年のこと。
仙台平野の水路には、どこでもメダカが群れて泳いでいた。しかし、農薬使用などで次第に姿を消し絶滅危惧種に数えられるまでになっていた。

2011年3月11日、大震災の大津波はわずかに残っていた仙台平野のメダカを押し流し、絶滅したものと見られていた。ところが、宮城教育大学が震災の前に、若林区井土地区のメダカを研究用に採集していることが分かった。大学と動物公園が中心になって「メダカの里親プロジェクト」をつくり、メダカを増やす運動を続けていた。

田植えから10日後ころ、ミジンコがわいたのを見計らってメダカを田んぼに入れる。メダカは鳥などに捕食されないように、稲のかげにかくれて過ごす。そして、ミジンコやボウフラを食べて稲を守る。
遠藤さんの家の庭にある「メダカの学校」の池の中では、メダカたちが出番を待っていた。
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難問があった。新浜地区の水田は圃場整備工事で今年は休耕状態となるため、田に水を引く揚水機場が稼働しない。肝心の水をどうする?
遠藤さんはガソリン駆動のポンプで近くの用水路・提灯堀(ちょうちんぼり)から、ホースで水を汲み上げ田んぼに流すことにした。これで何とかしのげそうだという。

産米は「仙台岡田メダカ米」のブランドで売り出されている。栽培管理に手間がかかる割には、10アール当たりの収量は通常の農法の6割から半分以下。値段もやや割高となるが、美味しさが口コミで広まりつつある。
安全・安心という点は他の有機農法の米と同じだ。だが、メダカと一緒に育てることによって、震災で失われようとした生態系を再び取り戻したいという想いが人々を惹きつける。

遠藤さんは姿を消しつつあるメダカには、震災前から関心を寄せていたという。しかし、ふるさとの姿を一変させた震災を経験することで、その想いは一層強まったという。

遠藤源一郎さんはこう話す。
「小川や水路を泳ぐメダカの姿は、私たちのかつての暮らしの一部だった。メダカを復活させることは、ふるさとを取り戻すことでもある。大規模な米生産とは効率も違うし、昔ながらの手間のかかる農法だ。しかし、私たちの生命を支える食糧生産は、本来多様な生物と共生するものであったということを再確認したい」。

圃場整備が終わり、来年からは90アールほどに大区画化された水田が舞台となる。メダカと一緒に米を育てるには水管理をどうするか、区画はそのままでいいのかなど、様々な検討課題があるという。
仙台平野の一角に根付いた「メダカ米」、生物多様性と共生した農業の着実な歩みに期待したい。(了)

*「仙台岡田メダカ米」次のところで販売しています。
○毎月28日開催の「新寺こみち市」。”仙台市若林区新寺五丁目公園〜新寺小路緑道”で開かれる直売市場。
○「秋保ヴィレッジアグリエの森」。仙台市太白区茂庭字中谷地南32−1、(022)302−6081
○「遠藤環境農園」。090−4630−8344、(022)762−6563



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