10月7日 宮城県 被災地の”持続可能な緑化”とは? ~住民団体が初会合
写真;「緑の防潮堤」試験植樹(2015年5月、岩沼市)
被災地の海べりには人が住まなくなった、広大な荒れ地が雑草が伸び放題のまま拡がっている。かつては、白砂青松の地とたたえられることも多く、住民たちの暮らしの場でもあった。
環境省の調査では東日本大震災以後3年間で、宮城県だけで390ヘクタールの海岸林が消滅した。津波で海岸林が流されたのに加え、防潮堤の建設など復興事業がすすんだためである。震災から4年半、海沿いの広大な荒れ地の緑化をどうすすめるかは、被災地域の大きな課題である。
こうした中、宮城県内の被災地で緑化事業をすすめている、5つの住民団体の代表が塩釜市で初めての会合を開き、活動状況などを話し合った。住民団体の会合(塩釜公民館本町分館)
仙台市の輪王寺に事務局を置く「緑の防潮堤協会」は、岩沼市の千年希望の丘で植樹活動をすすめている。代表の日置道隆・輪王寺住職は『去年7万本、今年5万本の植樹をした。来年5月に10万本の植樹をする予定で、これで事業は一区切りとなる。育てている苗木を各団体で融通し合う工夫も必要だ』と問題提起した。
「元気な四季を次世代の子どもたちへ」という活動をすすめている、「いしのまき環境ネット」の川村久美事務局長は石巻市南浜につくられる復興祈念公園にも関わっていくと話した。
また、元高校教諭の小川進さんは七ヶ浜町に「浜学校」をつくった。ここで、ヤマザクラや、カスミザクラなど野生種の桜の苗木を育て、まちづくりに役立てたいという構想を明らかにした。
亘理町の苗木植栽会社の加藤 登さんが中心になってすすめている、「わたりグリーンベルト・プロジェクト」のユニークな取り組みが注目を集めた。ここでは、苗木つくりや、植樹作業に企業からのボランテイアに協力してもらっている。町有林を提供してもらうなど自治体の協力もある。
加藤さんはこう話した。『植樹作業は”お祭りムード”があり、ボランテイアの協力もえやすい。しかし、大事なのは植えた後の、維持、管理だ。誰がそれを担うかが課題だ』。
震災前に仙台湾岸に拡がっていた広大な海岸林は国有林だったが、維持、管理は事実上地域の住民たちが担っていた。住民たちは燃料となる枯れ枝を集めたり、キノコ狩りに海岸林に入った。林に入る日を決めたり、集落ごとの当番制をとっていた地域も多い。住民たちの暮らしそのもが海岸林の下草刈りにもつながった。
しかし、震災後ほとんどの自治体は海岸沿いを災害危険区域に指定し、住民に内陸への移転を促した。維持・管理にあたっていた住民たちの姿は海岸沿いから消えた。
上;震災前の海岸林(仙台市荒浜)。写真下;クロマツの再生事業(林野庁、岩沼市相野釜)。
気仙沼市のNPO法人「海べの森をつくろう会」代表の菅原信治さんはこう話した。
『植樹だけでなく、森の維持にも住民が関われる体制をどうつくっていくかが課題。住民が”よかった、助かった”と思えるような森をつくりたい。持続可能な緑化をどうすすめるかともに考えていきたい』。菅原さんはこう問題提起した。
被災した自治体の多くが海岸公園計画をつくったものの、実際にどのように緑化をすすめるかは、手つかずの状態でこれからの検討課題。どんな樹種を植えるかについても見解が分かれる。
「森の防潮堤プロジェクト」は宮脇昭・横浜国立大学名誉教授の指導で、タブノキやシラカシなどの常緑広葉樹の苗木を植えてきた。これに対して日本学術会議は「従来の海岸植生を十分に検証すべきだ」との意見書を出している。
一方、林野庁では成長が早いとされるクロマツ再生を大がかりにすすめている。
住民団体にも緑化についての考え方などで微妙な違いがある。しかし、同じように数10年~100年のスパンで考えるべきテーマだが、いったんつくられると後戻りのできないマンモス防潮堤とは違い、どんな緑の遺産を未来に残すかはこれから十分に議論を尽くせるテーマだ。住民団体が初めて一堂に会したのは意義深い。
1回目の話し合いでは会の名称も決まらなかったが、引き続きお互いの活動成果を共有し合い、持続可能な緑化をともに目指すことにしている。(了)
被災地の海べりには人が住まなくなった、広大な荒れ地が雑草が伸び放題のまま拡がっている。かつては、白砂青松の地とたたえられることも多く、住民たちの暮らしの場でもあった。
環境省の調査では東日本大震災以後3年間で、宮城県だけで390ヘクタールの海岸林が消滅した。津波で海岸林が流されたのに加え、防潮堤の建設など復興事業がすすんだためである。震災から4年半、海沿いの広大な荒れ地の緑化をどうすすめるかは、被災地域の大きな課題である。
こうした中、宮城県内の被災地で緑化事業をすすめている、5つの住民団体の代表が塩釜市で初めての会合を開き、活動状況などを話し合った。住民団体の会合(塩釜公民館本町分館)
仙台市の輪王寺に事務局を置く「緑の防潮堤協会」は、岩沼市の千年希望の丘で植樹活動をすすめている。代表の日置道隆・輪王寺住職は『去年7万本、今年5万本の植樹をした。来年5月に10万本の植樹をする予定で、これで事業は一区切りとなる。育てている苗木を各団体で融通し合う工夫も必要だ』と問題提起した。
「元気な四季を次世代の子どもたちへ」という活動をすすめている、「いしのまき環境ネット」の川村久美事務局長は石巻市南浜につくられる復興祈念公園にも関わっていくと話した。
また、元高校教諭の小川進さんは七ヶ浜町に「浜学校」をつくった。ここで、ヤマザクラや、カスミザクラなど野生種の桜の苗木を育て、まちづくりに役立てたいという構想を明らかにした。
亘理町の苗木植栽会社の加藤 登さんが中心になってすすめている、「わたりグリーンベルト・プロジェクト」のユニークな取り組みが注目を集めた。ここでは、苗木つくりや、植樹作業に企業からのボランテイアに協力してもらっている。町有林を提供してもらうなど自治体の協力もある。
加藤さんはこう話した。『植樹作業は”お祭りムード”があり、ボランテイアの協力もえやすい。しかし、大事なのは植えた後の、維持、管理だ。誰がそれを担うかが課題だ』。
震災前に仙台湾岸に拡がっていた広大な海岸林は国有林だったが、維持、管理は事実上地域の住民たちが担っていた。住民たちは燃料となる枯れ枝を集めたり、キノコ狩りに海岸林に入った。林に入る日を決めたり、集落ごとの当番制をとっていた地域も多い。住民たちの暮らしそのもが海岸林の下草刈りにもつながった。
しかし、震災後ほとんどの自治体は海岸沿いを災害危険区域に指定し、住民に内陸への移転を促した。維持・管理にあたっていた住民たちの姿は海岸沿いから消えた。
上;震災前の海岸林(仙台市荒浜)。写真下;クロマツの再生事業(林野庁、岩沼市相野釜)。
気仙沼市のNPO法人「海べの森をつくろう会」代表の菅原信治さんはこう話した。
『植樹だけでなく、森の維持にも住民が関われる体制をどうつくっていくかが課題。住民が”よかった、助かった”と思えるような森をつくりたい。持続可能な緑化をどうすすめるかともに考えていきたい』。菅原さんはこう問題提起した。
被災した自治体の多くが海岸公園計画をつくったものの、実際にどのように緑化をすすめるかは、手つかずの状態でこれからの検討課題。どんな樹種を植えるかについても見解が分かれる。
「森の防潮堤プロジェクト」は宮脇昭・横浜国立大学名誉教授の指導で、タブノキやシラカシなどの常緑広葉樹の苗木を植えてきた。これに対して日本学術会議は「従来の海岸植生を十分に検証すべきだ」との意見書を出している。
一方、林野庁では成長が早いとされるクロマツ再生を大がかりにすすめている。
住民団体にも緑化についての考え方などで微妙な違いがある。しかし、同じように数10年~100年のスパンで考えるべきテーマだが、いったんつくられると後戻りのできないマンモス防潮堤とは違い、どんな緑の遺産を未来に残すかはこれから十分に議論を尽くせるテーマだ。住民団体が初めて一堂に会したのは意義深い。
1回目の話し合いでは会の名称も決まらなかったが、引き続きお互いの活動成果を共有し合い、持続可能な緑化をともに目指すことにしている。(了)

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