9月28日 石巻市雄勝  カキ養殖本格再開へ!~企業のボランテイア支援で作業場完成

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石巻市雄勝の中心部から車で5分ほどの水浜地区を再訪した。東京から来た知人を案内しての被災地行である。
雄勝湾に面した国道沿いに鋼板張りの作業場が建っていた。カキ養殖を営む成澤豊克(なるさわとよかつ)さん(58)、ふみさん(49)夫妻のカキ処理場である。屋根のある屋外の作業スペースを含め、広さは175平方メートル。
この地区全体が地盤沈下しているため、1メートルほどかさ上げした。
建物は外壁に鋼板を張り付けた頑丈な造りだ。内部には水揚げしたカキを洗浄する部屋や、くみあげた海水を浄化する装置、それにカキむき場などがある。
成澤さん夫妻は、津波で流されたカキ処理場を、自力で再建にのり出した。
雄勝地区を中心に被災地支援を続けてきた、神奈川県厚木市の段ボール製造・販売会社、コンポー株式会社が再建を支援した。工事はほぼ終わり、来月には完成検査や、食品衛生法上の検査などを受け、操業を開始する予定だ。
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写真は成澤豊克さん、ふみさん。下はカキむき室。
成澤さん夫妻と出会ったのは、昨年9月8日のことだ。出会いの様子は小著「震災日誌in仙台」に書いた。10人ほどのボランテイアの人々ともに、カキ処理場の用地の整地作業をしていた。すべてのものが流され、人の気配のなかった浜の光景の中で忙しそうに働く人々の姿は、地域と漁業再生の希望を感じさせ印象的だった。
成澤さん夫妻はいち早く、カキ養殖の再開に動いた。種ガキを採取して、自力でカキ棚を少しずつ設置していった。この地区の養殖方式は浮き玉などで固定した、長さ100メートルほどのはえ縄にカキの連を吊るして育てる。作業船1艘が流されずに残ったのも幸いした。
当時の成澤さんの言葉が印象に残る。「ともかく誰かが動き始めなければ、三陸の漁業は死に絶える。政治や行政を待っていては始まらない」「10日の遅れが3月の遅れ」
この春までに、震災前と同じ50本のカキ棚を設置した。全てご夫妻が少しずつ作業を進めた。一口オーナー制度をうたって新聞、テレビをにぎわせたグループなどの動きとは無縁だった。カキ養殖再生へ、唄の文句ではないが「夫婦舟(めおとぶね)」の努力と言えようか。
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写真は水浜漁港の荷揚げ場。地盤沈下のため、満潮時には波に洗われる。2、3枚目はボランテイア作業風景。
カキ棚のロープに付いた海藻などを取り除き洗浄する作業と、処理場の用地整備作業。(いずれもコンポー株式会社のHPから)
コンポー株式会社を中心としたボランテイア・グループが、これまで前後5回にわたって支援してくれたのも大きな力となった。この会社は、雄勝地区を中心に仮設住宅などへの引っ越しに必要な段ボールを無償で提供するなど、震災当初から支援活動を続けてきた。昨年9月からは、社員など4~10人のボランテイアが雄勝を訪れ、カキ養殖再開を目指す成澤さんを手伝ってきた。
この日、完成したカキ処理場を見に、コンポーの歳原博幸(としはら)社長が現地を訪れた。残念ながら帰途についた直後で、タッチの差でお会いできなかった。
社長の知人でしばらく滞在するという、元商社マンの葛生茂(くずうしげる)さん(63)はこう話した。
「この建物の柱や壁の一つ一つに、カキ養殖を再開を目指す成澤さんを後押ししたいという、多くの人々の想いがこめられている」
成澤さんが応える。「美味しいカキをつくって、皆さんに提供するのがせめてもの恩返し」カキの生育は順調だという。来月(10月)下旬には2年ぶりに水揚げを再開する。
本物を目指す生産者の努力にこそ、いかに遠くとも支援の輪が拡がる。(了)


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