8月3日 山元町 風力発電予定地の海岸に 「(絶滅危惧種)スナガニが帰ってきて、営巣」 住民たちが調査で確認

DSC_0602.JPG山元町の花釜海岸。高さ7,2メートルの防潮堤の外側に砂浜が拡がる。大潮で干潮時なので波打ち際まで幅70メートルほどある。地元住民たちでつくる「山元町震災復興、土曜日の会」のメンバー8人がスナガニの生息調査を行った。
甲らの幅が2~3センチのスナガニは北海道南部以南の日本の沿岸に広く生息するが、砂浜が削りとられる海岸浸食や、海岸の人工的ば整備などで年々減っており、宮城県では絶滅危惧Ⅱ類とされている。東日本大震災の大津波で砂浜ごと押し流され、一時姿を消していたが、砂浜が再生するにつれスナガニも戻りつつある。今回の調査は宮城県内で震災復興に取り組む住民グループの連合体「里浜ネットワーク」の呼びかけに応じた。
スナガニは直径1,5~3センチの巣穴の奥に住む。
巻き尺で10メートル✖10メートルの区画を決め、その中の巣穴を確認した。巣穴は27。このあと巣穴を掘り進め、実際にスナガニが住んでいるかどうかを確かめた。
DSC_0611.JPGDSC_0588.JPGはじめは移植ベラなどを使うが、最後はカニを傷つけないよう素手で掘り進む。50センチ程度と結構深い。底に潜んでいるカニを見つけると、童心に返ったような歓声があがる。
見つかったスナガニは1匹ずつ甲らの大きさを計測。左右どちらのハサミが大きいかを記録する。ときおりすばしこく逃げるスナガニを追いかける。解説書によると走るスピードはカニ類でトップクラスだという。納得。
この日の調査では、巣穴26と、スナガニの個体8を確認した。

調査にあたった「土曜日の会」のメンバーで東北工業大学名誉教授の田代侃(かん)さんはこう言う。
「去年,廃油が漂着する出来事があり影響を心配していたが充分な生息数を確認でき安心した。震災でいったん壊滅的な被害を受けた山元町の海岸の生態系が着実に回復していることが改めて確かめられた。こうした貴重な自然環境を未来に受け継ぐことが私たちの責務だ」
見つけた8匹のスナガニは、勿論そっと砂浜にリリースした。

この海岸は宮城県が風力発電所の建設を計画している予定地にあたり、東急不動産株式会社が事業をすすめることが決まっている。およそ3キロメートルの海岸に、高さ195メートルの巨大な風車が最大で12基立ち並ぶという計画だ。
通常は沖合に建設するのが洋上風力発電だが、この計画は波打ち際からおよそ50メートルの浅瀬に風車を建設する。建設工事には砂浜が使われることになる。
DSC_0613.JPG先月27日、地元の自治会の役員など関係者を集めて「第2回地域協議会」が開かれた。席上、宮城県は建設予定地の砂浜の動植物生息状況調査の結果を公表した。
それによると、絶滅の恐れありとされる貴重な植物としてはシロヨモギ。動物ではイガイが確認されたという。シロヨモギは防潮堤のすぐそばに生えている。またイガイはテトラポットに付着しているので、いずれも工事が生息に影響することはないと説明した。

調査結果を見た「蒲生を守る会」の熊谷佳二さんは次のように指摘する。長年の蒲生干潟の保護活動を通じて、海浜性の動植物の調査では学会での発表実績もある。
〇現地調査が3月17、18日の2日間だけでは到底動植物の生息状況を把握したとは言えない。3月のこの時期は動植物ともに不活発で、スナガニなどは冬眠中。年間を通した調査が必要だ、
〇この地区は宮城県の自然環境保全地域に指定されており、鳥類の調査が欠かせない。
〇牛橋河口の干潟や、汽水域も多くの貴重な底生動物や鳥類が観察されており、調査区域に加えるべきだ。
〇(住民たちが調査した)スナガニについては過去の文献調査でも漏れているのは不自然。
DSC_0596.JPG事業を担当する宮城県再生可能エネルギー室はこう説明する。
「今回は砂浜にどんな動植物がいるのか議論の出発点とするために行った簡易調査だ。スナガニなどについては来年度以降、東急不動産が行う環境アセスメントに含めてもらうことになる」

震災に耐え抜いた自然環境を大切にしたいという地元に住む方々の熱い想いと、行政の論理はかみ合わない。
今月21日には、地元の住民を対象とした風力発電事業の説明会が開かれる。(了)

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