7月12日 仙台シンフォニエッタ 5か月ぶり練習再開~合奏する喜びもどる

勿論「三密」対策に気を配った。通常は一つの譜面台に二人並ぶところを、各自譜面台を一台。間隔も前後左右1、5メートルとった。一部の窓とドアは開け放しにした。幸い市民センターには他に利用するグループがなかったので、音もれを気にする必要がなかった。
全員マスクをつけたまま。指導の副指揮者、畠山渉さんにはフェイスシールドを用意した。
練習曲目はまずモーツアルト「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」。冒頭のト長調の主和音が響いた瞬間”ざわっ”とした。合奏する喜びがようやく戻ってきた。

さらに、2015年以来続けてきた「3・11祈りのコンサート」も取りやめることになった。モーツアルトの「レクイエム、死者のためのミサ曲」を演奏するものでオ-ケストラは私たちが中心となる。「震災を忘れない、忘れさせない」という想いもコロナ禍には勝てなかった。
私たちだけでなく他の音楽団体も活動休止に追い込まれた。人数をしぼってのパート練習なども検討したがそれすらも難しい。いつ再開できるか先が見えない日々が続いた。

震災の被害に心を塞いでいたのは施設の入所者も同じ、いや私たち以上だったはずだ。演奏を聴いている方々の表情が和んでいったのが忘れられない。あの時は互いが身と心を寄せ合うことでのり越えることができたが、今回私たちに疑心暗鬼の想いを持ち込み、身を寄せ合うのを妨げているのはウイルスという眼に見えない恐怖である。
負けたくない。
10月の演奏会も今後の感染の拡がりによっては予定通りできないこともありうる。こうしたリスクを考慮して曲目をブラームス・4番などの大編成のものから、弦楽器主体のプログラムに変更した。
ただでさえアンサンブルの力が問われるアマチュアのオケである。間隔をとっての演奏には不安もあった。しかし、やってみると離れた分、”合わせよう”という意識が働くのか、意外(?)に集中した演奏となった。
なにより参加者は数えるほどかと思っていたのが、予想を越える20数人が参加した。メンバーのみんなが合奏できる日を待ち望んでいたのだ。胸があつくなった。合奏できる日常が続くことを願うばかりだ。(了)
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