6月21日 仙台市荒浜 ”被災した海岸林の再生を地元由来のクロマツで” 住民たちが植樹

DSC_0484.JPG林野庁が「海岸防災林再生事業」をすすめている荒浜地区の植栽地。強い海風を防ぐ柵が周りを囲んでいる。震災前は国有林の松林があったので、地名は北官林(きたかんりん)と呼ばれていた。名取市の住民団体「ゆりりん愛護会」のメンバー10人がクロマツの苗250本を植樹した。
30センチほどに育った2~3年生のクロマツの苗を、1メートルの間隔を置いてスコップで掘った穴に植えていく。砂地なので穴を掘るのは容易だ。根の周りを丁寧に埋め戻した後、充分に水やりをした。1時間余りで250本を植え終わった。
植樹の適期は3月~5月とされるが、新型コロナウイルスの感染拡大のおそれで1か月遅れとなった。また、植樹の参加者も一般公募をせずに会のメンバーだけで行った。

クロマツの苗は名取市の閖上地区で津波に耐えて残った松から育てたもの。地元由来のクロマツだ。
DSC_0478.JPG「ゆりりん愛護会」は震災前から海岸林の保全活動の取り組んでいた。2004年、不審火で閖上地区の海岸林が焼失したのをきっかけに結成された。「閖上の林=ゆりりん」を守り育てようというのが会の名前の由来だ。クロマツをはじめオオシマザクラや、ヤブツバキを植樹した。

2011年、東日本大震災で仙台湾岸の海岸林は壊滅的な被害を受けた。閖上地区も例外ではなかった。メンバー7人がなくなり、会は存続の危機に立たされたという。
津波に耐えて残ったクロマツがあった。「この子孫を未来の世代に伝えていくことが、亡くなった仲間の無念さに応えることになる」、代表の大橋信彦さん(76)はこう思ったという。
DSC_0467.JPGDSC_0495.JPG生き残ったクロマツからマツカサを採取し、松の育樹で実績のある福知山市の「京都府緑化センター」に送った。2年後2013年、福知山市のセンターで育てられた5000本のクロマツが里帰りした。会では名取市内のほ場でクロマツの苗木を増やすとともに、荒浜地区と岩沼市寺島地区を中心に植樹を続けてきた。
今回植えたのは生き残ったクロマツの3代目、孫の世代だという。
これまで植えた苗は順調に活着し、4~5年もすれば樹高3メートルほどに成長するという。
DSC_0498.JPG仙台湾岸では多くの住民団体や、企業などが参加して海岸林の再生に取り組んでいる。名取市の海岸林再生は海外の農業支援を続けている団体が一手に引き受けるなど、事業の進め方は地域によって異なる。なかには、地元由来ではない樹種を植えて数年後に枯れた例もあり、お互いの経験交流が十分とはいえない。
海岸林はかつては地域の住民たちが日々立ち入ることによって、知らず知らずのうちに自然環境などが保たれてきた。仙台市新浜地区で行われていた「松葉さらい」が一例である。ところが、震災後は「災害危険区域」に指定されて人が住めなくなった地域も多く、植樹した海岸林をどのように保全していくかが課題として残る。
ゆりりん愛護会ではこれまでも「親子植樹体験会」や、大学生を招いての見学会などに取り組んできた。未来の環境保全の担い手を育てるのがねらいである。地元由来のクロマツにこだわる地道な活動に学ぶところは多い。(了)

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