9月17日 仙台市あすと長町 復興住宅の日照奪うタワーマンション群  被災者に背を向ける行政

DSC_0856.JPGJR長町駅東口にこのほど新しいタワーマンションが完成し、入居者募集を始めた。「パークタワーあすと長町」(三井不動産レジデンシャル)だ。28階建て、総戸数468。同社によると東北最大規模だという。あすと長町地区は交通利便性が高いでけでなく、大型商業施設も立地しておりすでに多くのタワーマンションが林立する。大型マンションの開発競争に参入した形だ。

ここからおよそ400メートル南に「あすと長町復興公営住宅」がある。13階建て、現在150世帯が入居する。震災から4年後2015年4月に入居が始まった。仙台市の中心部に近いことから人気が高く、仙台市内だけでなく、石巻市や気仙沼市、福島の被災者も入居した。入居者の一部は抽選で決まった。ところが入居者を驚かせる事態が次々に。入居から半年後には、南の隣接地でタワーーマンションの工事が始まった。24階で、戸数345。高さは80メートルと復興住宅の倍もある。
DSC_0847.JPG写真;中央の白い建物が復興住宅。右が南側、奥が東側。
建設工事を知らせる掲示板に気付いた人はほとんどいなかったという。翌2016年には今度は東側に、同じく24階のマンション建設がもち上がった。その後北側にも24階のマンションが建設され、復興住宅は三方をタワーマンションに囲まれて日差しを大きくさえぎられることになった。
特に1階から3階の東側の住まいは、冬期間だと1日に1時間ほどしか日が差さない。
3階に住む安藤譲さん(82)を訪ねた。
DSC_0838.JPGDSC_0836.JPG安藤さんは石巻市牡鹿町で被災した。息子さんのいる仙台市内の見なし仮設住宅で過ごしたあと、この復興住宅に応募した。便利な地だったので抽選で当たるかどうかドキドキだったという。ところが、周りが次々にタワーマンションで囲まれていく。「こんなことなら申し込まなかった」と言う。
奥さんと二人で3階の東端の部屋に住む。この日は9月も中旬というのに真夏の日差しが戻ってきた。しかし、薄暗い居間では午前中から電気が付いたままだった。

自治会の役員をしていた安藤さんは「おひさまと安心の暮らしを返せ~住民の会」を作って、東側にできるマンションの位置をずらすよう業者側と交渉を重ねた。しかし」日影規制のない商業地域だ」などの理由で拒否された。
2017年には仙台市に対して公開質問状や署名を添えた要望書を出して、住まいの北側に「明り取りの窓」を設置するよう求めた。

しかし、仙台市の回答はゼロ回答だった。
〇マンション計画を事前に検討したが、距離を保つなど一定の配慮をしており、日影は受忍の範囲内だ。
〇直射日光は一定程度さえぎられるが、隣接するマンションとの空間から「天空光」、つまり大気中の水蒸気やチリなどのよって拡散される光が得られる。復興住宅は新築で、費用対効果の点から見て「明り取りの窓」の設置は難しい。
DSC_0845.JPG住民たちはあきらめなかった。隣接のマンションに邪魔されず空が見える、復興住宅の西端にはプレイルームや、ユニットラウンジなどの名前で住民が集える部屋が5か所ある。しかし、空調やトイレなどの設備が一切ない。せめて「日向ぼっこ」できるようにトイレや水道などを設けるよう要望した。
仙台市もようやく重い腰を上げ、今月に入り2階のプレイルームに水道やトイレを設置した。

このプレイルームは5か所の空き部屋の内、ただ1か所西側が窓ではなく壁。仙台市は住民の要望に沿って工事したというが、これでは「日向ぼっこ」どころではないとの声もある。

住民たちの調べでは現在入居している150世帯のうち、62世帯が一人暮らし。被災者の多くが「終の棲家」として入居した。この期待が裏切られただけでなく、ささやかな要望にも応えず背を向け続ける行政。”復興”とは何だろう?改めて考えこまざるをえなかった。(了)

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