7月17日 七ヶ浜町 「当たり前の日常を大切に!」 高校生たち紙芝居で震災体験を訴え

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七ヶ浜町立汐見小学校。同じ町内の向洋中学校の卒業生でつくる「きずなFプロジェクト」のメンバー、7人の高校生がやって来た。当時向洋中の教諭だった瀬成田実さん(現・名取二中)の指導で、自らの震災体験に向き合う活動を続けている。メンバーの小野寺美羽(みう)さん、優羽(ゆう)さん、双子の姉妹の被災体験をもとに紙芝居を制作した。2年生53人に紙芝居を上演した。2年生といえばメンバーの被災当時とほぼ同じ年頃、だが彼らは震災直後に生まれ記憶をほとんどない。

小野寺さん姉妹は陸前高田市で震災にあい母と祖母を亡くし、七ヶ浜町の里親のもとで暮らしている。
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紙芝居は10枚。おじさんを含む5人が暮らしていた日々から始まる。3月11日、激しい揺れに続く大津波。2人は避難所へ逃げた。振り返ると家がどんどん流されるのが見えた。翌日、迎えが来たが姿を見せたのはおじさんだけ。お母さんとおばあちゃんが津波で流されたことを知った。
1か月後、母と祖母の葬式が行われた。2人は走り回って遊んでいた。肉親が死んだことがよく理解できなかったのだ。
中学生になって体育祭があった。友だちが「お父さん、お母さん」と呼ぶのが胸に突き刺さった。2人は震災学習をきっかけに、語り部の活動を始めた。

紙芝居はこんなせりふで幕を閉じる。
「みなさんに伝えたいことがあります。誰かを失ったとき、後悔してももう遅いです。自分の家族は一つしかありません」
「伝えたいことがあればその時に伝えてください。1分、1秒を大切に過ごしてください」

悲しみ、悩みに満ちているに違いない自らの被災体験を煮詰め、析出したのがこの言葉だった。「当たり前の日常、いまを大切にしよう」。

訴えは子どもたちの心に届いたようだ。「お母さん、おばあちゃんが亡くなったと分かったとき悲しかった」。「家が流されていくのがこわかった」。子どもたちはこんな感想を口にした。
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「きずなFプロジェクト」のメンバーは災害公営住宅での交流会や、各地の被災地の実情を調べるフィールドワークなどの活動も続けている。なかでも、震災の悲劇と、そこから何を学ぶかを次の世代に伝えていくことが最大に務めだと思っている。

2年生の児童と遊び感覚で学んだ「防災ダック」もその一つだ。
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豪雨があったら、「カエル」。ケロケロと鳴きながらかがんでくつひもを結ぶ。長くつで逃げたのでは様々なものが靴の中に入ってかえって危険。津波には「チーター」。チーターのようにともかく全力で逃げる。
いざと言う場合に命を守るにはどうするかを、分かりやすく覚えてもらおうというものだ。

震災以降も日本列島の各地を襲った大地震や豪雨災害。この先確実視される南海トラフ沿いの災害など、私たちは災害列島の住民であることから逃れることはできない。東日本大震災から8年余、私たちは何か教訓を発信することができただろうか。
各地で若い世代が自らの心のうちの葛藤を乗り越え、震災に向き合い語り継ぐ活動を始めつつある。7人の高校生たち、”若き伝道師”たちの姿がまぶしかった。(了)

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