7月15日 仙台市荒浜 「震災を忘れない」 想いをリレーする高校生たち

DSC_0585.JPG茨城県から高校生グループが貸し切りバスで仙台市荒浜にやって来た。県立取手第一高校を中心に隣接の藤代高校の2人、大学生1人をまじえた総勢32人。2014年から続けている「東北復興支援バスツアー」で、今回で6回目となる。一行は震災遺構の荒浜小学校で、天井や壁が大きく壊れた教室や、アメのように曲がったベランダの鉄柵など大津波の脅威が刻まれた跡を見学した。屋上に逃れた子どもたちや、住民がヘリコプターで助け出されるまでを記録したビデオを見た後、震災前の荒浜の街並みを再現したジオラマの前でガイドの説明を聞いた。
生徒たちからは「命を守るのに欠かせないことは?」とか、「遠くに住む私たちには伝わらないことがある」などのが。仙台市のスタッフでガイドを務める高山智行さんはこう答えた。
「ともかく高い所へ避難して命を守ること。また、この震災遺構は防災・減災を学ぶ場であると同時に、私たち元住民にとってはふるさとだったことを示す場でもある。荒浜は震災後は人が住めない地区に指定されたが、内陸へ移転した人にとってやはりここはふるさと。この地にあった文化や伝統を後の世代に伝えていくことが私たちの課題である」。

一行は海岸清掃のボランテイア作業をした。
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荒浜の海岸は仙台市内でただ一つの「深沼海水浴場」だった。震災後は閉鎖されたままだったが、今月27日から30日までの4日間プレオープンする。砂浜は震災直後の家庭ごみは減ったが、プラステイックやガラスの破片などが目立つ。このところ続いた梅雨寒から一転、真夏の日差しが照り付けるなかでゴミ拾いに追われた。

茨城・取手から荒浜まではバスで片道4時間かかる。去年までは茨城県がバスのチャーター代を補助してくれたが、今回は打ち切りとなった。今年茨城で国体が開催されるためではないかという。生徒の参加費は高くなった。去年より10人程度減ったがそれでも参加者は30人を越えた。
引率の大滝修教諭はこう話す。「社会の雰囲気は五輪などに向かっているが、生徒の間には被災地のために何かできることはないか、と言う声が強い。これがツアーを続けられる背景だと思う」

一行を出迎えたのは元住民の庄子隆弘さんが主宰する「海辺の図書館」や、支援活動を続けている「3・11オモイデツアー」のメンバーなど10人。市の施設「運動公園センターハウス」で流しそうめんをふるまった。
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10メートル余の竹筒は節を削って手作りした。冷たい水とともにそうめんやそばが流れてくる。時折、ミニトマトやチョコ、はてはポッキーまで流れてくるのが若者向けのサービス。荒浜地区に伝わる「煮(に)」という家庭料理もふるまわれた。厚めの油揚げと糸こんにゃくを醤油味で煮たシンプルなもの、懐かしい味がする。
今回初めて参加した吉岡柊真(しゅうま)君(2年)は、「来年も必ず参加する」と言い切った。わずかな時間とはいえボランテイア作業に充実感を覚えたためだという。
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5時間余りの滞在を経て一行はバスで帰途についた。大滝修教諭は「受け入れの努力をしてくれる荒浜に心を寄せる人々がいる限り、来年以降もツアーを続けたい」と話す。
「震災を、被災地を忘れない」という想いを茨城の高校生たちがリレーする。(了)


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