6月2日 Intermezzo 仙台シンフォニエッタ演奏会 コントラバスの音色が聴衆魅了

画像
仙台シンフォニエッタの第42回演奏会が開かれた。東日本大震災直後に1回休止したのを除いて、1998年の設立以来年2回の演奏会を重ねてきた。今回は管楽器の応援をいただいて、シンフォニーを中心としたプログラムだ。私はこのオーケストラの代表を務めている。

メンデルスゾーンの序曲「フィンガルの洞窟」で幕を開けた。若い頃スコットランドのヘブリデイーズ諸島にある洞窟に足を運んだ時の印象を基に作曲した演奏会用の序曲だ。北の海の荒波を思わせる主題を、ファゴットと低弦が歌い出す。そして洞窟へ流れ込む荒々しい波の光景も音で表現される。
ワーグナーはこの曲を聴いて「一流の風景画のような作品」と評したという。寒々とした北海の荒波と、雄大な洞窟の様子が聴く方々に伝わっただろうか。

会場は宮城野区文化センター「パトナホール」。ここを会場とするのは4年前に続いて2回目。380人収容と小ぶりだが、音響はいい。満席に近い方々が来場していただいたことが何よりである。

ヴァンハルの「コントラバス協奏曲」ニ長調が今回一番の聴きものだった。コントラバス独奏は仙台フィルの首席奏者の名和俊(しゅん)さん。1992年いわき市生まれの若手である。
画像
画像
ヴァンハルはモーツアルトと同時代にウイーンで活躍した作曲家。ともに弦楽四重奏を楽しみ、モーツアルトがヴィオラを、ヴァンハルがチェロを弾いたと伝えられる。
コントラバスは立って演奏する。背の丈を超える楽器は250年前にイタリアで制作された。糸巻の上部にライオンの彫刻が乗せられた名器だ。オーケストラの土台を支えるコントラバスを独奏楽器に迎えるのは初めてである。

曲は「急緩急」の古典的な様式。アレグロ・モデラートの第1楽章。カデンツア(独奏部分)は指板(しばん)がなくなるところまで高い音程まで駆け上る。夢見るような第2楽章、チェロが鳴っているのではないかと一瞬錯覚する。「ヴァイオリンのように華やかな音色だった」とアンケートに書いた聴衆もいた。
軽快なフィナーレを終え、拍手が止まなかった。
アンコールでラフマニノフの「ヴォカリーズ」を弾いてくれた。豊かで、人の心を包み込むような音色がホール全体を魅了した。

メインプロはベートーヴェンの交響曲第2番ニ長調。
楽聖が耳の病気に悩み、「ハイリゲンシュタットの遺書」を書いた時期と重なるが、それを思わせない明るさとエネルギーにあふれた曲だ。

重厚な序奏に続く、青春の想いが疾走するアレグロ・コン・ブリオの第1楽章。幸福感のあふれた第2楽章は青年の夢か。実らなかった恋とも関係すると言われますが、楽聖の明るい情熱に迫るのは結構難しかった。
初めて「スケルツオ」と題した第3楽章。そして一気呵成に走り抜くフィナーレ。
正直なところ反省点が多々残る演奏だった。リベンジはありうるのか?

これでベートーヴェンで演奏会で取り上げていないのは4番、9番となった。次に挑戦はどれか?
画像

指揮者の日比野裕幸さん(宮城教育大学教授、元仙台フィル・クラリネット首席奏者)はステージのあいさつで、「仙台シンフォニエッタは日本で最高齢のオーケストラ」と紹介した。
若干異論がある。ここ数年比較的に若いメンバーが加入し、平均年齢が下がってきている。ただ、年齢がどうかという議論は不毛かも知れない。
「仙台で一番楽しく演奏するオーケストラ」と言う想いの方を大切にしたい。

次回の演奏会は10月13日(日)14時~、東北大学川内萩ホール。モーツアルトのデイヴェルテイメントなどを演奏する。(了)

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック