12月2日 大川小 命を守ることは学校の「根源的義務」~原告遺族が討論会 

画像
児童74人と、教師10人が亡くなった石巻市大川小学校の惨事では、子どもたち23人の19遺族が提訴した。1審判決は現場教師の過失を指摘し、控訴審判決は事前の学校防災を尽くさなかった市教委や校長らの組織的な過失を断罪した。石巻市と宮城県はこれを不服として最高裁に上告した。
原告遺族が初めて行った討論会は、仙台高裁の判決に学んで学校防災のあり方を考えようというもので、教育関係者を含めおよそ140人が参加した。

この中で原告弁護団の斎藤雅弘弁護士は2審判決についてこう述べた。
「事前の学校防災を尽くさなかった市教委や校長などの組織的な過失を認定した。この防災計画を作る義務、つまり児童の命を守ることは公教育制度を円滑に運営するための根源的義務であると認定したことの意義は大きい」このように強調した。

その上で、教員個々人に過失があったというのではなく、組織と責任ある立場の人の過失を指摘したものだ。宮城県知事と石巻市長は上告理由として「現場の教員に厳しい義務を課することは納得できない」という趣旨の発言をしているが、判決を正確に理解しているとは言い難い。斎藤弁護士はこう指摘した。
会場の参加者からも「知事や市長は判決を読み違えている、行政にも弁護士がついているが適切な助言をしていないのでは」といった疑問の声が出された。

さらに、日大危機管理学部准教授の鈴木秀洋さんは次のように指摘した。鈴木さんは東京文京区などで行政実務の経験もある。「組織的な過失を認定したのは行政の実務に即した妥当な判断だ。行政に求められるのは学校、教育委員会や市長部局など組織間の調整にコストをかけ、事前にやるべき学校防災の体制をつくっていくことだ」

原告遺族の想いや、大方の世論に背を向けて、行政側が上告したことの理不尽さが改めて浮き彫りになった。

会場には子どもたちのランドセルや通学用のヘルメットなど、およそ40点の遺品が展示されていた。遺影の子どもたちは誰もが笑顔を浮かべているのに胸を締め付けられる。
画像
画像
3人の母親が「子どもたちの無念を思うといまも眠れない」などとつらい心境を語った。
このうち、鈴木美穂さんは6年の長男と、4年の長女を亡くした。長女はいまも行方不明のままだ。
「ここまでランドセルを背負ってきたが重かった。これが命の重さだと思う。子どもたちにとって学校は安全・安心の場であるはず。学校を命の最期の場にしてはならない」鈴木美穂さんはこう訴えた。

遺族や研究者をまじえたパネル討論では、学校防災のあり方などが話し合われた。
6年の次女を亡くした元中学校教諭の佐藤敏郎さん(55)はこう述べた。
「現場の教師は忙しくて命を守るいとまがないという声がある。これはありえない。教師を縛っているのは数々の通達や研修、報告やマニュアルなどでこれが大川の悲劇につながったと言える。教師は子どもの命を守り、輝かせる立場にある」。
「仮に新任教員など経験のない教員がいても子どもの命は守れるというのが学校防災だ」
「学校は学力を競うのではなく、防災の取り組みを競ってもらいたい」
こうした意見もでた。
画像
写真:遺族たちが続ける「語り部ガイド」(9月17日)。
話し合いの中では、原告遺族から行政側の「事後不法行為」に対する疑問の声も相次いだ。
亀山石巻市長が遺族に対して「自然災害の宿命だ」と発言したり、市教委が関係者の聞き取りメモを廃棄したことなどである。

とりわけ、子どもたちを校庭に50分も留めたのはなぜなのかという疑問は、ただ一人生き残った元教務主任の教員が一切口を閉ざしていることなどから依然として闇の中だ。「この教員の話を聞くまでは満足できない」との発言もあった。

判決が「空振りは許せるが、(振らずに)見送りは許されない」とふれていることが紹介された。また、千葉県で小・中学校の校長を務めた経験のある鈴木智さんが「救急車を呼んだことは問わない。呼ばなかったことは問う」という申し合わせをしたことを紹介した。
謎に迫るヒントにはなりそうだ。

仙台高裁の判決をきっかけに全国の教育委員会の4割が学校防災に取り組み始めたことも報告された。(毎日新聞調べ、2018年10月11日)
4割が多いか少ないかの評価は難しい。しかし、「それに比べると、石巻市の学校は取り残されている。子どもの命が本当に守れるのかという疑問が残る」 原告の紫桃隆洋さんの言葉が胸に響いた。(了)

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 8

なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
ガッツ(がんばれ!)

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック