11月8日 東松島市・東名 「元地」への行政サービスを! 住民たち訴える

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東松島市の東名地区。住民たちがコーヒーカップを片手に地域の問題を話し合う「お茶っこ」を開いた。被災地を巡回する石巻市の一般社団法人「チーム王冠」のお茶っこバスがやって来た。被災地のコミュニテイ再生を支援するため、国の補助を受けて整備した。車内には簡単な調理施設があり、バスの後部は10人ほどが座れる談話スペースになっている。

東名運河より内陸のこの地区は、海抜ゼロメートルに近いため運河を越えて津波が押し寄せ腰の高さまで床上浸水した。第3種の災害危険区域だが一定の条件を満たせば住宅の新築もできる。住民の一部は高台に整備された野蒜ケ丘などに移転したが、およそ240世帯の住民が自宅を修繕して住んでいる。隣接する野蒜地区でも同じように70世帯が現地再建して住んでいる。
住民たちは現在地を「元地(もとち)」と呼ぶ。高台の団地に対して、元々住んでいた場所との意味だ。

お茶っこには9人が参加した。年配の女性からはさっそく「交通手段が不便」との声があがった。
住民の足だったJR仙石線は野蒜ケ丘を通るようにルート変更した。
「らくらく号」という事前申し込み制のバスが走るようになったが1回300円。石巻市に近い整形外科病院まで行くには、市役所で乗り換えなければならずまた300円払う。往復1200円は安くない。
荷物は1人1個とされているため、スーパーなどでのまとめ買いもできない。
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写真上;チーム王冠の「お茶っこバス」。下;東名地区。きれいに修復されたように見えるが、住民の多くが壁の中のヘドロの除去など修繕箇所が残ると訴える、
震災後の一時期区長を務めていた高橋貞雄さん(84)は、集会所の整備を訴えた。
市役所は震災後集会所をつくった。「ふれあいセンター」と名付けられ広さ50平方メートルの平屋建て。万一の際の避難タワーを兼ねられるよう、3階建ての集会所を要望したが予算がないと断られたという。
400世帯余が住む野蒜ケ丘には市民センターが2か所あるのに、野蒜地区を含め300世帯余が住む「元地」への行政サービスは決定的に不足だ。
高橋さんはこう力説した。
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写真上;野蒜ケ丘。市民センターや、観光物産交流センターなどが整備されている。下;旧JR仙石線線路跡。
住民たちの要望の一つが旧仙石線の跡地の活用。線路跡を遊歩道として整備してもらいたいと要望しているが、行政側からはまだ明確な回答はないという。
行政サービスの不足と並んで住民たち多くが、自宅の修繕費用をどう捻出するかが悩みだという。海水に浸かった床や、外壁など暮らすのに欠かせない部分は直した。多くの場合自費だという。津波が運んできた壁のなかのヘドロの除去が充分でないとか、天井の雨漏りを修繕しきれていないという住民もいた。

行政がすすめた高台への集団移転事業ではなく、現地再建の途を選んだこの方々は「在宅被災者」に数えられる。一律に居住禁止の災害危険区域を指定した他の自治体に比べ、東松島市は危険区域を弾力的に設定するなどの点は研究者から評価する声もある。
しかし、行政が用意した”復興”メニューに応じなかった住民は、無視もしくは軽視するという姿勢を、私たちは東日本大震災後多くの自治体で目にしてきた。すべての被災者の生活再建こそが復興行政がまずなすべき目標である。自らが取り残した住民に目を向けないのは復興行政の名に値しない。
残念ながら東松島市も例外ではないようだ。
残る2年の集中復興期間、「元地」の在宅被災者へのきめ細かい支援・救済が東松島市にも求められている。(了)

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