11月25日 名取市閖上 住民が立ち上げた「管理組合」~コミュニテイ再生に向け始動

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名取市閖上の中央団地に、ひと足早いモチつきの音が響いた。宮城県労連などに加盟する労働組合などが主催する、被災地支援のインベントだ。集合型の復興公営住宅5棟が並ぶ団地の一画で、50人余りのメンバーがつきたてのモチや焼きそば、芋煮などをふるまった。
主催した団体の事務局、宮城一般労働組合委員長の鈴木新さんによると、集団移転で誕生した新しい団地のコミュニテイ形成を助けるのが目的。この団地では結成されたばかりの「閖上中央第一団地管理組合」が受け入れ窓口となり実現したという。第一団地のA~D棟はこの7月に入居が始まった。E棟は今月から入居開始したばかり。誕生間もない住民たちの管理組合がイベントの陰の主人公だった。

第一団地の管理組合は9月30日の設立総会で誕生した。名取市の復興まちづくり課の働きかけがきっかけだった。主だったメンバーが3回ほど打ち合わせを重ね総会開催にこぎつけた。

各棟ごとに「棟長」を選ぶ。また各棟は2~6階まで5つのフロアがあるので、フロアごとに「班長」を決め、1年ごとの輪番制にした。ただし、高齢者はローテーションから外した。棟長を中心に役員会を構成する。組織は整った。
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写真上:隣り合った戸建ての「中央南団地」の住民もイベントに参加した。下:「管理組合」でリーダー役を務める遠藤庄二さん。C棟の棟長でもある。
管理組合は最初の活動として、月1500円の共益費を集めることになった。10月が第一回。共益費はエレベーターや、建物内の照明や街燈などの電気代、共用スペースの水道代などにあてる。やや高額ではという意見もあったが、街燈が結構多い。.赤字で追加徴収すると、かえって混乱するとこの金額に落ち着いた。
住民の理解が得られるかが心配だった。結果は4棟、合わせて116世帯のうち集められなかったのは入院中の2世帯だけ。ほぼ100パーセントと言える成果だった。半年分を一括で前納した住民も4世帯あった。

65歳以上の住民が67パーセント。ほとんどが年金暮らしだという。同じように高齢化がすすむ災害公営住宅の中には、役員のなりてがなくて自治体や、外部の業者が代行して共益費集めに当たるケースが多いという。
困難な状況の中で順調な滑り出しとなった理由を、管理組合の役員の方々はこう説明する。

無理して集めないことを原則とした。班長の手に負えない時は棟長が一緒に住民に説明する。長期に滞納となれば市役所に通報して協力を得る。こうしたマニュアルを決めたが、目立ったトラブルはない。
住民は全員が同じ閖上に住んでいた。共益費をもらいに訪ねていっても昔の閖上の暮らしの話題で盛り上がる。ふるさとを同じくする繋がりで、理解が進んだという。

会計担当役員の樋口学さんはこうも説明する。
「私を含めて仮設住宅の自治会に関わった経験を持つ人が多い。こうした経験が組合の運営を支えている」。
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写真上:名取市の市民団体「ふらむなとり」が管理組合の役員の方々に聞き取り調査(11月21日、C棟集会室)。下:「神戸まちづくり研究所」事務局長の浅見雅之さんが同行した。
11月21日、被災住民の支援活動を続けている市民団体「ふらむなとり」のメンバーが、管理組合の役員の方々に聞き取り調査をした。

地盤を5メートルかさ上げして、2、000人規模の市街地の再建を目指す閖上地区。工事が最も早く終わった西団地には昨年夏から住民が入居し始めた。しかし、中央団地の周辺でもまだ広大な工事中の空き地が拡がる。すべての住民が入居し終わるのは早くて来年末。3年近くかけて時差入居する住民たちのつながり=コミュニテイをどう紡ぎ直すかが課題だった。

管理組合の順調な滑り出しは、聞き取り調査に訪れたメンバーを驚かせるものだった。
管理組合は共益費を集めるだけでなく、各棟の共用スペースの清掃や、C棟にある集会室の管理なども任されている。集会室ではカラオケ大会を定期的に始めた。歌う参加者からは100円もらう。自販機を設置できないか、メーカーと協議している。収益金を積み立てて、草刈り機や集会室の冷蔵庫をそろえたいという。
活動は管理組合の領域を越えて、自治会に近づいていた。

女性の参加を促すため、今後は防災クラブや、婦人部をつくることを検討している。

コミュニテイ再生の先例を紹介しに来たという「神戸まちづくり研究所」事務局長の浅見雅之さん。「かえって住民の方々から様々な知恵や、工夫を学んだ。住民が頑張っているところを行政は放っておかないはずだ」。と話した。
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吉幾三ではないが、この団地は「商店街がない、ATMも郵便局も、ポストもない」。と住民たちは苦笑いする。商店街や公民館など、コミュニテイの中心となる施設の建設は早くても来年以降だ。

名取市役所の働きかけは「自治組織を作れないか」というものだった。一気にそこまで進むのは荷が重かったという。しかし、いまの活動内容はすぐにでも自治会や町内会に衣替えできるものだ。中心メンバーとして活動する遠藤庄二さん(75)も、「いずれは自治会に移行できるのでは」、と話す。

誕生したばかりの閖上中央団地に、コミュニテイ再生を目指し住民たちが着実な歩みを刻み始めた。(了)

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