8月21日 仙台市新浜 「ニュービーチプラン」で ”浜のある”まちづくりを
仙台市宮城野区新浜(しんはま)町内会などの主催で、「新浜の自然と歴史の学習会」が開かれ地元の住民などおよそ60人が参加した。参加者たちは浜の自然がどの程度回復しているか観察会に向かった。新浜地区にただ1か所あった貞山運河を越えて浜へ向かう橋は、津波で流されたまま。貸し切りバスで南側の荒浜地区まで向かい、第二旭橋を渡る迂回コースをとった。
台風11号が足早やに通り過ぎたため、炎天下での浜歩きとなった。
仙台湾岸では震災の津波で砂浜が流され、生態系も損なわれた。しかし、新浜の海岸ではハマヒルガオやハマニガナなどの海浜性植物の群落が残り、再生していることが確認された。研究者の指摘などを受け、国土交通省はおよそ1キロメートルのこの区間では防潮堤を内陸側に最大で40メートル移して建設し、貴重な植物群落の保護を図った。
防潮堤の内側には、昭和28年に建てられた「愛林碑(あいりんひ)」が津波に耐えて残っていた。新浜の住民たちが松林の植林に尽力したことを記念したものだ。海の安全と、大漁を祈願する「八大龍王(はちだいりゅうおう)」の石碑も建っていた。
高さ2メートルほどのこの石碑は津波でなぎ倒されたが、流されずに残った。住民たちが重機をつかって建てなおした。誰が供えたのかコップ酒があった。
防潮堤の外側の植物群落だけでなく、内側の草地にも海浜性植物が生息する貴重なエリアがあった。
写真上:海浜性植物のひとつ「ウンラン」。下:貞山堀(新堀)。住民たちはまず橋を架けてほしいと要望する。
幅60メートル、南北200メートルほどあるこのエリアは、林野庁が客土しなかったため一部に浜から吹き寄せられた砂地が残り海浜性植物が生息できる環境になっているという。コウボウムギやカモノハシの他、ウンランが小さな黄色の花を咲かせ、蜜を求めてハチが飛んできていた。
観察会に同行した日本昆虫学会会員の郷右近勝夫(ごううこん)さんによると、ここには内陸には珍しいニッポンハナタカバチが生息しているという。体長2センチほどのこのハチは砂地に穴を掘って巣にするという。
郷右近さんは「せっかく国交省が防潮堤を内陸側に移しても、いったん7,2メートルのコンクリートの壁ができてしまうと浜からの砂の供給が途絶える。数年後にはこうした貴重な生態系が姿を消すことになりそうだ」と心配する。
このあと、町内会館でニュービーチプランをめぐるワークショップが開かれた。このプランは「新=ニュー」、「浜=ビーチ」の名で町内会が打ち出したまちづくりの青写真だ。柱は次の3つ。
①「浜のある暮らしの再発見」。ビーチクリーン活動や、貴重な植物群落などの地域資源の保全。草刈りや海岸林再生などに取り組む。
②「交流人口、定住人口の増加めざした取り組み」。自然観察ツアーや、語り部ツアーの実施。地域資源を散策できる遊歩道の設置、貞山堀をつかったカヌーやSUP(サップ)の実施などを掲げる。
SUPは大型のサーフボードに乗って、パドルで漕ぐ水上散歩。ハワイ生まれの新しいレジャースポーツだ。
③「行政との対話・協働の場」
ワークショップでは、「貞山堀を渡れるよう新浜橋を早くつくってもらいたい」、「林野庁がすすめている高盛り土の砂防林は、標高5,8メートルの計画だが、これを10メートルほどにかさ上げし避難の丘にすべき」。
こういった声が出た。
海岸から1キロメートルほどの内陸でまちづくりをすすめる新浜地区は、仙台市内では最も浜に近い集落だ。南隣の荒浜地区など海沿いの集落が、居住できない災害危険区域に指定されたためだ。現在67世帯の住民が自宅を修復したり、再建してすんでいるが震災前に比べると半分以下にとどまる。若い世代を中心に内陸部に移り住んだ住民が多いためである。
「若い世代を呼び戻せるよう、地域の魅力アップが必要」、「そのためにもニュービーチプランも着実な実施を」。こんな意見も出された。10月には地域の歴史の学習会を開く。
”浜のあるまちづくり”を目指す住民たちの模索は続く。(了)
台風11号が足早やに通り過ぎたため、炎天下での浜歩きとなった。
仙台湾岸では震災の津波で砂浜が流され、生態系も損なわれた。しかし、新浜の海岸ではハマヒルガオやハマニガナなどの海浜性植物の群落が残り、再生していることが確認された。研究者の指摘などを受け、国土交通省はおよそ1キロメートルのこの区間では防潮堤を内陸側に最大で40メートル移して建設し、貴重な植物群落の保護を図った。
防潮堤の内側には、昭和28年に建てられた「愛林碑(あいりんひ)」が津波に耐えて残っていた。新浜の住民たちが松林の植林に尽力したことを記念したものだ。海の安全と、大漁を祈願する「八大龍王(はちだいりゅうおう)」の石碑も建っていた。
高さ2メートルほどのこの石碑は津波でなぎ倒されたが、流されずに残った。住民たちが重機をつかって建てなおした。誰が供えたのかコップ酒があった。
防潮堤の外側の植物群落だけでなく、内側の草地にも海浜性植物が生息する貴重なエリアがあった。
写真上:海浜性植物のひとつ「ウンラン」。下:貞山堀(新堀)。住民たちはまず橋を架けてほしいと要望する。
幅60メートル、南北200メートルほどあるこのエリアは、林野庁が客土しなかったため一部に浜から吹き寄せられた砂地が残り海浜性植物が生息できる環境になっているという。コウボウムギやカモノハシの他、ウンランが小さな黄色の花を咲かせ、蜜を求めてハチが飛んできていた。
観察会に同行した日本昆虫学会会員の郷右近勝夫(ごううこん)さんによると、ここには内陸には珍しいニッポンハナタカバチが生息しているという。体長2センチほどのこのハチは砂地に穴を掘って巣にするという。
郷右近さんは「せっかく国交省が防潮堤を内陸側に移しても、いったん7,2メートルのコンクリートの壁ができてしまうと浜からの砂の供給が途絶える。数年後にはこうした貴重な生態系が姿を消すことになりそうだ」と心配する。
このあと、町内会館でニュービーチプランをめぐるワークショップが開かれた。このプランは「新=ニュー」、「浜=ビーチ」の名で町内会が打ち出したまちづくりの青写真だ。柱は次の3つ。
①「浜のある暮らしの再発見」。ビーチクリーン活動や、貴重な植物群落などの地域資源の保全。草刈りや海岸林再生などに取り組む。
②「交流人口、定住人口の増加めざした取り組み」。自然観察ツアーや、語り部ツアーの実施。地域資源を散策できる遊歩道の設置、貞山堀をつかったカヌーやSUP(サップ)の実施などを掲げる。
SUPは大型のサーフボードに乗って、パドルで漕ぐ水上散歩。ハワイ生まれの新しいレジャースポーツだ。
③「行政との対話・協働の場」
ワークショップでは、「貞山堀を渡れるよう新浜橋を早くつくってもらいたい」、「林野庁がすすめている高盛り土の砂防林は、標高5,8メートルの計画だが、これを10メートルほどにかさ上げし避難の丘にすべき」。
こういった声が出た。
海岸から1キロメートルほどの内陸でまちづくりをすすめる新浜地区は、仙台市内では最も浜に近い集落だ。南隣の荒浜地区など海沿いの集落が、居住できない災害危険区域に指定されたためだ。現在67世帯の住民が自宅を修復したり、再建してすんでいるが震災前に比べると半分以下にとどまる。若い世代を中心に内陸部に移り住んだ住民が多いためである。
「若い世代を呼び戻せるよう、地域の魅力アップが必要」、「そのためにもニュービーチプランも着実な実施を」。こんな意見も出された。10月には地域の歴史の学習会を開く。
”浜のあるまちづくり”を目指す住民たちの模索は続く。(了)
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