9月29日 仙台市あすと長町  仮設団地の住民が災害公営住宅を提案へ! ~コミュニテイを守りたい

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仙台市太白区あすと長町の仮設住宅団地。200世帯余が住む、仙台市内で最大の団地だ。JRの貨物操車場だった。広大な用地があったため、宮城県内でも最も早く完成した。仙台市がかつて副都心にしようとしていた地区だ。交通の便はよく、買い物にも苦労しない。しかし、あちこちの地域からばらばらに入居した住民が多い。
お互いが見ず知らずという中で、どうしたらコミュニテイを作れるか。仮設団地の住民たちの新たな悩みだった。住民たちの苦闘の跡は、当ブログの1月9日の項で紹介した。
当初は有志の住民で「運営委員会」を作った。参加者は3分の1にも満たなかった。震災から1年、町内会が結成された。新しいコミュニテイの誕生である。
仙台市は3000戸の災害公営住宅を建設する計画だ。(仙台市は”復興”公営住宅と呼ぶ)多くの住民が数年後には公営住宅に移り住む。苦労の末作りあげたコミュニテイを再びばらばらにしたくない。
有志が「あすとコミュニテイ構築を考える会」を作った。住民が希望する災害公営住宅のあり様、デザインの提案に向けて議論が始まった。
 
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この日は3回目のワークショップ。団地の集会室におよそ30人が集まった。
これまでの話し合いで浮かび上がった基本的な考え方は2つ。
○災害公営住宅はあすと長町地区、できればいまの仮設団地に隣接した場所に建てる。交通や買い物に便利なこ とや、周辺に福祉施設が整っている。また、何年かは仮設住宅に残る住民との交流を保てるとの理由からだ。
○住宅の構造、デザインをお互いの交流を保ちながら、適度の距離感をもって暮らせる共助型にすること。

会の活動をサポートする、東北工業大学の新井信幸講師と、大阪在住の建築士、松富謙一さんが3つの案を作った。いずれも、仮設団地の北側に集合住宅を建設する。A案は3階建、5棟で55戸。B案は11階建て、2棟で128戸。C案は9階建て、1棟で105戸。模型や設計図を前に住民たちが意見を交わした。
3階建のA案。高齢者が多いだけに、エレベーターのないのが不評だった。9階建のC案は、1フロアーに13戸が1本の廊下に面して並ぶ。これではコミュニケーションが取れないとの声が大半だった。B案に好意的な意見が多かった。
1フロアーに3戸ずつのブロックが2つ。3戸の玄関は同じ向きににあり、ドアを開ければお互い顔を合わせられる。
ベンチでも置けば、語らいの場所ともなる。ダイニングルームはいずれも大きな窓で廊下に面している。お互い気配を感じ取ることができる。

集会所や子どもの遊び場が必要だ。高齢者だけでなく、若い人々が集えるスペースが欲しい。住民たちからはこんな注文が相次いだ。
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災害公営住宅の隣の用地は福祉ゾーンとして、デイケア施設などを誘致してはどうか。仮設団地の跡地は、若者も集客できるショップや、飲食施設の並ぶ賑わいゾーンとしてはどうだろうか。
もともとあすと長町地区は仙台市が副都心にしようとしていた。商業施設や公共的なホ-ルを誘致したが、思うように進まなかった。こうした提案で長町を活性化できるのでは。住民たちの夢は拡がる。

仙台市は3000戸の公営住宅のうち、1400戸は民間業者が建てたものを買い取る民設公営方式をとる。住民たちはさらに議論を重ねたうえ、共同提案できる企業をさぐり、具体的なプランを仙台市に提案することにしている。

防災集団移転など行政が進める復興事業は、各地で住民の間に亀裂を生み、結果としてコミュニテイを破壊する不幸な事態を招いているケースが少なくない。
あすと長町の住民たちは、行政の機先を制して自らコミュニテイを守れと声を挙げた。これも、住民の方々が、行政の支援がほとんどない中で、自らコミュニテイを作るという苦闘を重ねてきたからに他ならない。経験が彼らを強めた。
よもや、行政が住民の声をに耳を傾けないということはあってはならない。(了)

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この記事へのコメント

絶滅種爬虫類型人間
2012年10月10日 07:59
松舘さん、大変興味深い記事でした。住民自治の可能性を感じます(新免貢)

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