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zoom RSS 6月29日 荒浜→波伝谷 拾い集めた「豆管」 カキ養殖漁師に寄贈

<<   作成日時 : 2018/06/29 22:44   >>

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仙台市荒浜の海岸で住民や、ボランテイアが拾い集めた「豆管(まめかん)」およそ2kgが、南三陸町波伝谷(はでんや)地区の養殖の漁業者に寄贈された。荒浜の貴田喜一さん(72)から、波伝谷のカキ養殖漁業の菅原幹生さん(42)に豆管が手渡された。
豆管はカキ養殖に使う長さ2センチほどのプラスチック製のパイプ。カキの種苗を採取するため、海中に吊るす「カキ種の原盤」を作るのに欠かせないパーツだ。

荒浜海岸では住民たちが毎月1回「アラハマ・リボーン」と名付けた地域おこしのイベントを続けているが、参加者が海岸清掃を行うのが恒例行事だ。かつては津波で流された家具や食器の破片などのゴミが多かったが、このところ「レジンペレット」と呼ばれるプラスチックの小さな粒が目に付くようになってきた。環境を汚染するだけでなく、魚類がエサと間違えて飲み込むこともあり生態系にも有害な物質として各地で問題になっている。

これと並んで目に付き始めたのが長さ2センチほどのプラスチックのパイプ。砂をちょっとかぶった状態であちこちに転がっていた。集めてみたものの、一体どんな用途に使われるのか”謎の物体”だった。
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写真上:アタハマ・リボーン恒例の海岸清掃(2018年6月10日)。下:見つかった”謎の物体”。
謎を解いてくれたのは、我妻和樹監督のドキメンタリー映画、「波伝谷に生きる人びと」だった。震災前、波伝谷地区で営まれていた暮らしを追った優れた作品だ。カキ養殖が主産業の一つ。「カキ種の原盤」を作る作業にこの物体が使われていた。問い合わせたところ「豆管」と呼ぶことも分かった。こうした謎解きは、住民たちを支援する女性建築士の清本多恵子さんの努力による。
この日は、東京から駆け付けた我妻さんも贈呈の場に立ち会った。

波伝谷でカキ養殖を営む後藤新太郎さん(32)が「原盤」を見せてくれた。
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写真上:後藤新太郎さんと、積み上げられた「カキ種の原盤」。およそ400本ある。

ホタテの貝殻の中央に穴を開け、2メートルほどのワイヤーに72枚吊るす。貝殻の間に豆管をはさみすき間ができるようにする。原盤はカキの放卵期にあたる8月の月遅れのお盆のころに、2つ折りにして養殖海面に吊るす。カキが放出した卵=幼生が貝殻に付着して種ガキとなる。
すき間をあけるのは卵が付着しやすくするためで、豆管はカキ養殖には欠かせないパーツなのだ。

波伝谷を含む戸倉地区の養殖カキは一昨年、2016年にASC(水産養殖管理協議会)の国際的な認証を日本で初めて得た。水質や海洋環境の汚染の恐れのない養殖技術や、徹底した品質管理などが認められた。ASC認証の表示付きで出荷される戸倉のカキは、市場でも高い評価を受けるようになった。
震災で戸倉のカキ養殖は壊滅的な被害を受けた。養殖だなだけでなく、漁船の9割が流された。亡くなった漁業者もおり、漁業者は半分ほどに減った。

もう一つの悩みがあった。戸倉のカキは「過密養殖」が悩みのたねだった。養殖海面には1100台ものカキだながひしめき、カキの成長は遅く2〜3年でなければ水揚げできなかった。どうすれば克服できるか、漁業が続けられるかどうか見通しもつかない苦境のなか、漁業者たちは徹底的に話し合った。

カキだなの間隔はかつては狭いところだと10メートルだったのを、40メートル以上とした。カキだなは3分の1の300台に減らした。3年で15グラム程度だったのが、1年で20グラム、乳白色のぷりぷりしたカキが水揚げできた。戸倉は震災を機に、国内でも模範的なカキ養殖に生まれ変わった。
カキ部会長の後藤清広さん(57)は、自分たちの目指す漁業をこう言い表した。
「私たちが目指す養殖漁業は、自然を力づくで押さえるのではなく、自然と共生する強い産業になることです」。
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豆管を受け取った菅原幹生さんはこう語った。
「ゴミとして見向きもされないようなものですが、私たちには欠かせないものです。お互い震災でつらい想いをした者同士が、このように結び付いたことに感激しています」。

環境に心を配り、自然との共生を願う被災者の想いが70キロの距離を越えて結びついた。(了)

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