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zoom RSS 7月30日 蒲生干潟 開発=”復興”が脅かす”生物多様性”〜動植物の宝庫を守れるか

<<   作成日時 : 2017/07/31 15:38   >>

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仙台市宮城野区、七北田川の河口に拡がる蒲生干潟。国の特別鳥獣保護区で、海浜性の動植物の宝庫として知られている。「蒲生を守る会」の主催で自然観察会が開かれた。震災後毎年この時期にひらかれており4回目。
1,2回目の観察会では、壊滅的被害を受けた干潟が徐々に回復、なにより動植物の驚異的な復元力に感嘆の声が上がった。去年は住民や自然保護団体の反対を押し切って決まった、7、2メートルの防潮堤の影響に対する不安の想いが募った。しかし、動植物は健在だった。
そして、今年は?

幸い、雨の予報が外れて程よい空模様になり、家族連れなどおよそ40人が参加した。さっそくシャベルを手に砂浜を掘り、干潟の生き物探しに取り掛かった。カニを見つけたという歓声があちこちで上がる。
砂浜には一面にハママツナが根付いていた。保護を呼び掛ける看板が2か所に。スゲの仲間のオオクグだ。宮城県では準絶滅危惧種に数えられている。図鑑によると小さな穂をつけるが、花期が終わったのか30センチほどのムギに似た茎が生えていた。

見つけた生き物は、「蒲生を守る会」のメンバーが見分けて分類していく。
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写真下;三角の貝がフトヘナタリ。
砂浜からはコメツキガニや、チゴガニが多く見つかった。波打ち際から離れたヨシの生えたあたりからは、体長3〜4センチのアシハラガニが見つかった。アシ(ヨシ)の原っぱに生息するのでこの名がある。震災後の観察会では去年初めて確認された。ヨシの群落がかなり回復してきたためだが、そのヨシ原がふたたびはぎとられ始めているのが気がかりだ。
「このようにカニは住み分けしている。干潟といっても砂浜だけでなく、湿地やヨシ原など多様な環境が必要なのだ」。守る会の熊谷佳二(けいじ)さんが解説する。
準絶滅危惧種のフトヘナタリが見つかった。体長2センチ強の巻貝だ。

1時間弱の観察で15種類の動物が確認された。去年よりわずかに多い。参加者の半分がリピーター。探し方に慣れてきたのも一因ではという。
後背地の草原や林と、干潟を往復して暮らすアカテガニ。守る会のメンバーは何とか確認したいと意気込んでいたが、去年に続いて見つからなかった。確認の眼が行き届かなかったのか。それとも、後背地の区画整理の工事が本格的に進んで、生息地が奪われたためなのか。
見つかった生き物はすべて元の場所に戻した。

野鳥の観察ではもっと気掛かりなことが。
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写真下;中央のコンクリートが旧堤防。右の干潟側にはヨシ原が残っているが、左の内陸側は工事のためはぎ取られていた。石炭火力発電所の煙突が遠くに見える。
守る会のメンバー、佐場野 裕(ゆたか)さんによると、今日の観察ではダイサギをはじめ、コサギ、ウミネコ、バン、カイツブリ、アオジなどが確認できたという。東南アジア方面からやってくるササゴイという珍しい渡り鳥も観察できた。

ところが、去年まであったヨシ原が土地区画整理事業に伴う工事ではぎ取られ姿を消していた。こうした場所では、本来草原や林に生息するヨシキリ類や、ホオジロ類などは確認できなかった。
そういえば、去年の観察会ではヨシの茂みで、オオヨシキリが”ギョギョシ・ギョギョシ”とさかんに鳴き声を上げていた。今日はまったく聞こえない。

震災前には干潟の後背地には住宅地に混じって、ため池やヨシ原、それに林が点在し、生物にとって多様な生息環境があった。仙台市はここを、工場を誘致する用地に作り変える土地区画整理事業を進めている。ため池は埋められ、ヨシ原ははぎ取られて工場用地に生まれ変わろうとしている。
すでに立地企業の公募が行われ、バイオマス発電や、物流企業の立地が決まっている。

開発の波は動植物の生息環境を変え、蒲生干潟の生物多様性を脅かそうとしている。
進行している事態が”開発”と呼べるならだ。事業の正式名称は「仙台市蒲生北部被災市街地復興土地区画整理事業」。仙台市は復興事業と位置付けている。
コトは「”復興”が生物多様性を脅かそうとしている」。こう言うべきかもしれない。

脅威はこれにとどまらない。
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写真上;蒲生を守る会・熊谷佳二さん。下:仙台パワーステーション。この日は試験運転を休んでいるのか、煙突から煙は出ていなかった。
熊谷佳二さんはこう強調した。「周辺では火力発電所が3か所も計画されている。蒲生干潟の生物多様性は世界に誇れる宝物だ。市民の力で何とか守っていきたい」。

干潟から800メートルほどの場所に建設された関西電力と伊藤忠商事の子会社・仙台パワーステーションの石炭火力発電所は出力11万2000KW、今年10月の操業開始を予定している。環境への影響に加え、健康被害を心配する住民たちは試験運転中止を求めているが、事業者側に応じる姿勢は見られない。

さらに1キロほど北の仙台港高松ふ頭に、四国電力と住友商事の子会社が同じく11万2000KWの石炭火力発電所を建設する。燃料の30パーセントを、木質ペレットなどを燃やすバイオマスにするというが、大気汚染物質の排出量が増えることに変わりはない。
蒲生干潟の後背地には仙台市の誘致で、7万5000KWの火力発電所が立地する。全量バイオマス発電だが、3つの火力発電所が稼働した場合、蒲生周辺の環境が変わるだけでなく、健康被害の心配も否定できない。

仙台市民はかつてスパイクタイヤの追放運動で、粉じん公害を一掃した歴史をもつ。市民の力で取り戻したきれいな空気を、再び汚させてはならない。
市民の力が問われている。(了)

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