震災日誌 in 仙台  

アクセスカウンタ

zoom RSS 6月20日 仙台市井土 ふるさとの生態系よみがえる メダカがいる畑で野菜づくり

<<   作成日時 : 2017/06/21 10:18   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 3 / トラックバック 0 / コメント 0

画像
仙台市若林区井土に、丹野明夫さん(67)の農園を訪ねた。メダカの保護・再生に取り組む「メダカの里親の会」の会員。内陸部の今泉地区に住むが、井土の出身だ。実家の裏にひろがる20アール余りの畑を「井土メダカの里農園」と名付けて野菜をつくっている。
入り口には小さな池が2か所。それぞれ200匹ほどのメダカが泳いでいる。池のなかには田んぼのあぜ道に生えていたショウブなどが植えられている。小さいながら、できるだけ自然に近い環境を整えた生物生息域=ビオトープである。メダカは人の気配を感じるとすぐ葉のかげに隠れてしまうため、カメラには捕えられなかったが、小さなカエルやゲンゴロウが泳ぎまわっていた。
井土地区は海岸から1,2キロほど。東日本大震災で災害危険区域には指定されなかったが、100世帯あった多くの住宅が津波で大きな被害を受けた。丹野さんの実家も一階部分が被害を受けたが無事再建できた。
丹野さんはふるさとのこの地で野菜づくりを再開したいと考えた。ボランテイアの手も借りて畑に流れ込んだがれきを取り除いた。表面に新しい土を50センチ程度盛り土して、4年前から野菜づくりを開始した。
つくっている野菜は実に多種・多彩。トマト、キュウリにはじまって、ホウレンソウ、ブロッコリー、レタス、スイカなど数え上げてもらったら33種にのぼる。
栽培規模は1畝から、せいぜい2畝程度の少量。しかし、ここから生まれる野菜の多様さを想うだけで心が浮き立つ。
もちろん、化学肥料や殺虫剤を使わない無農薬が原則。メダカが泳ぐビオトープはその決意の象徴でもある。
画像
画像
写真上;丹野さんとビオトープ。下;栽培が難しい夏ハクサイ。小さな虫が寄り付くのを防ぐためネットで覆う。
池で泳ぐメダカたち。実はここから西側に100メートルほどの田んぼの側溝で、宮城教育大学が震災前に採取した群れの子孫だ。
日本中どこでも姿が見られたメダカは農薬の使用や、水田の水路のコンクリート化などで生息数が減り絶滅危惧種に数えられるまでになっていた。とりわけ、2011年3月11日に襲った大津波で仙台平野のメダカは絶滅したと考えられた。ところが、井土生まれのメダカが宮城教育大学で研究用に保護されていることが分かった。
震災の翌年、大学や仙台市八木山動物公園が中心になって「メダカの里親プロジェクト」の活動が始まった。

丹野さんの農園にメダカがやって来たのは4年前。メダカたちが生まれ故郷に戻ってきた。大震災を乗り越え、ふるさとの生態系がよみがえったのだ。
丹野明夫さんは言う。
「地元のメダカを戻すことは、地域の再生を象徴するものだ。よみがえったふるさとの自然に惹かれ、いったん地域を離れた人も戻ってくるのではと思う」。
丹野さんの野菜づくり、実はほとんどゼロからのスタートだった。
画像
写真:トウモロコシは地面からハクビシン、空からはカラスに狙われるため、ネットですっぽり覆う。
丹野さんは農家の三男だが、地銀に務める銀行マンだった。父親や兄の農作業を見て育ったが、実際に手をかけたことはほとんどなかった。播種の「時期は?畝の高さは?すべて、周りの農家の方々の指導を受けながらのスタートだった。分からないところは本を読んで学んだことも多いという。

再就職の誘いを断って野菜づくりに転じたことは後悔していないという。
朝、今泉の自宅から農園に”出勤”。野鳥のさえずりを聞きながら、大きくなったキュウリをもぎ、カボチャの受粉作業をする。野菜は日々成長するので、毎日新しい発見があるという。
採れた野菜は、農作物の販売市を続けているボランテイア団体に時折提供する他は、ほとんど近所や知り合いにおすそ分けする。取材に伺った私も、新鮮なキュウリやハクサイをいただいて帰った。
画像
震災前100世帯を数えた井土地区に、現在住んでいるのは8世帯にとどまる。しかし、地域の中心部に建つ海楽寺は本堂も再建した。15人の被災農家がつくった「井土生産組合」は年々経営規模を増やしており、地域の再生は目に見える形で進んでいる。
県道10号線より海側、災害危険区域に指定された地区をどう活用するか地元と行政側の検討が続いている。丹野さんはメダカを観察できるビオトープを何か所か作りたいと提案している。海岸近くには遊具などをそなえた「冒険広場」が復旧した。子どもたちが遊びながら自然について学べる場になるという。
メダカとともに、地域再生の夢が拡がる。(了)
*「メダカの里親プロジェクト」、問い合わせ先:仙台市八木山動物公園飼育展示課。
 022−229−0122、022−229−3159(FAX)

月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 3
なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
ナイス

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
6月20日 仙台市井土 ふるさとの生態系よみがえる メダカがいる畑で野菜づくり 震災日誌 in 仙台  /BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる