震災日誌 in 仙台  

アクセスカウンタ

zoom RSS 12月4日 南相馬市小高区  ”生命ある樹木を葬る”不条理  しかし、地域再生に必要な一歩

<<   作成日時 : 2016/12/06 13:08   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

画像
南相馬市小高区のボランテイアセンターで指示されたのは、大田和地区にある農家脇の林の伐採・枝打ち・玉切り(太い丸太を短く切る)作業。車で5分程度の現場に向かった。前日から始まった作業で、木の枝が小山のように積み上げられている。10数本の立ち木を伐採する。兵庫県から来た20数人のグループは30分程度作業して、次の目的地に向かった。この日の作業は、大学時代の同級生で千葉・東京から来たU君のグループに私を加えた12人と、個人参加のボランテイアの総勢25人で行うことになった。
チェーンソーを扱う資格のある数人が伐採する。私たちは剪定バサミや、小型ノコギリで枝を払い、短く切りそろえる。細い枝でもなかなポキンとは折れない。つい今まで立っていた生木だからだ。粘りがあり、木の繊維が折られまいと抵抗しているかのよう。「”生木を裂く”とはこんなものなのかな」とつぶやきなが作業を続ける。直径が10センチを超える太い枝は手作業では無理。チェーンソーに任せる。
私たちのグループはほぼ全員が70歳超。予想外にきついワークだ。

一抱えもあるサクラの木にチェーンソーをあてる。30分ほどかかってようやく”ドーッ”と倒れた。「ああ、もったいない!」。期せずしてつぶやき声がわき上がる。年輪からみて樹齢はおそらく60年を越えている。
画像

依頼主である農家の方が帰還するのか、移住を考えているのかの事情はプライヴァシー保護上明かされない。ただ、伐採した樹木はすべて1メートル弱の長さにしなければならない。フレコンバッグに詰め込むためだ。

伐採された木はかつては燃料として人々の暮らしを助けた。この立派なサクラなら材木として十分利用できる。しかし、私たちが切り倒した木は「放射性廃棄物」として処分を待つことになる。”生命ある樹木を葬る”不条理に胸が痛んだ。
ボランテイアセンターの空間線量は0,168マイクロシーベルト・毎時と表示されていた。この林の線量はおそらくそれを上回る。地域を再生し、人々が前にすすむためには欠かせない作業なのだ。気を取り直し作業を続ける。
カキがいっぱいに実った木を2本伐採した。カキを食べてみた人がいる。「甘かった」という。

眼前にひろがる田んぼは刈り取りが終わったあとのように美しい。しかし、東京電力福島第一原発事故後の6年間、全く耕作されなかった田んぼだ。はるか山際には積み上げられた黒いフレコンバッグが見える。

山のように積み上げられた木の枝も、25人の”人海作業”で一区切りがついた。午後3時すぎ、「作業終了」のかけ声。昼食をはさんで5時間余りのボランテイア作業が終わった。
日中は汗ばむほどの好天だったが、夕闇が迫るこの時間になると肌寒い。メンバーには10日ほど滞在して作業を続けているという北海道・釧路の男性や、毎月1回は作業にやってくるという人。福島市からバイクでやって来たという青年など様々だ。あいさつを交わして解散した。
目に見えない放射能の脅威にさらされ続ける福島の地に、ボランテイアの働きはまだまだ必要だ。

ほぼ全域が第一原発から20キロ圏にある小高区は、この7月に避難指示が解除された。
画像
画像
写真上;JR小高駅前の通り。下;「双葉屋旅館」、小林岳紀(たけのり)さん、友子さん夫妻。
小林さん夫妻は避難解除とともに営業を再開した。JR常磐線は小高駅以北が再開。まもなく仙台まで列車で行けるようになる。コンビニも2店、店開きした。しかし、震災前1万2000人を数えた住民のうち、帰還したのは現在993人、10分の1を切る。
私たちは双葉屋旅館にお世話になった。女将の友子さん(63)は小高で生まれ育った。4年間、自宅から列車で仙台市にある宮城学院女子大学に通学したという。ふるさと再生を願って駅前の花壇に花を植え続ける活動はテレビで紹介された。
小高駅の待合室にはクリスマスツリーが、また駅前通りにもイルミネーションが飾られていた。ボランテイアの協力で地元の商工会が設置した。

友子さんは3年前にはチェルノブイリ事故の被災地を訪問し、住民の立場から放射線管理や健康管理などを考える活動をすすめている。菜種油には放射能が残存しないことを知り、各地の市民団体と協力して菜の花を増やす「菜の花プロジェクトネットワーク」もすすめている。
しかし、小高で暮らすリスクを心配する若い世代の想いは理解できるという。
「2人いる孫に遊びにお出でとはまだ言えない。地元で採れる野菜など測定の上、私たちは食べるが孫たちにはすすめない」。友子さんはこう言う。
画像
写真は小高駅・待合室の空間線量表示。
ふるさと再生を目指す決意と、ここに暮らすことをためらう想い。小高には2つの想いが交錯していた。(了)

月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 2
なるほど(納得、参考になった、ヘー)
ガッツ(がんばれ!)

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
12月4日 南相馬市小高区  ”生命ある樹木を葬る”不条理  しかし、地域再生に必要な一歩 震災日誌 in 仙台  /BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる