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zoom RSS 8月19日 石巻市雄勝地区 中心部は8割以上が戻らず〜 集団移転事業に住民がイエローカード!

<<   作成日時 : 2012/08/20 17:01   >>

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雄勝未来会議が開かれた。午後1時30分会場の石巻市河北総合センターには、雄勝地区の住民およそ200人が集まった。名称はおそろしくモダンだが、雄勝地区の復興計画を住民に説明する会議である。

席上、衝撃的なデータが住民たちに初めて明らかにされた。行政側が先月実施した住民の意向調査では、実に半数以上の住民、59%の人々が雄勝地区を出ていくというのである。震災前4、300人を数えた雄勝地区の住民は、この先1、820人へと激減する。
高台への集団移転を実施しても、6割の住民がふるさとには戻らない。

市の実施する集団移転事業に参加して雄勝に戻るという住民は、わずかに280世帯にとどまる。とりわけ、かつて小中学校や公共施設、商店街のあった中心市街地。集団移転に参加して戻る住民はかつてすんでいた618世帯のうち68世帯だけ。実に84%にあたる住民が元の地区には戻らないと回答した。
行政が進める集団移転事業に、住民はイエローカードを突き付けたのだ。

雄勝には戻らないという309世帯の住民に希望先を聞いたところ、石巻市の旧市街地の新蛇田地区が122世帯、河北地区が118世帯と多数を占めた。仮設住宅は雄勝の中心部では用地が確保できず、住民の多くが遠く離れた石巻の旧市街地などにばらばらに分かれて入居している。小中学校も他の地区で再開した。
仮設住宅暮らしが1年を越えると、その地域へのなじみが増してくるのは容易に想像できるところだ。

加えて、雄勝の中心部の復興は一向に進まない。総合支所や、伝統産業会館などの公共施設は撤去作業が行われないまま、今も残骸をさらす。
このままでは、雄勝のまちが消えてしまう。こうした恐れは住民が誰しも漠然と感じてきた。それを現実のものにしたデータが公表されても、会場からは驚きの声が聞こえなかった。残念ながらこれもうなずける。
やはり、そうだったかと皆さん受け止めたようだ。
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写真は伝統産業会館。来年2月までに取り壊すという。

実はこの日の議事次第は別の項目からスタートした。冒頭、行政側が復興計画についてのアドバイスを委託した東京芸術大学をはじめ、東北大学、日本大学の研究者や学生諸君が次々に壇上に登場した。彼らは自らが考えたという地区ごとの復興プランを、実に1時間30分にわたって発表した。
例えば、ある漁業集落については、どの家も地域の伝統的な建築様式を取り入れ縁側を設ける。さらに地域の結び付きを大事にして、それぞれの家の縁側が向かい合うように配置を考える。道の駅ならぬ、海の駅を作ったり、廃校となった小学校の校舎を滞在型観光の拠点として役立てるといったアイデアなどを発表した。
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写真は研究発表をする学生諸君。
中には夢の感じられるプランもあった。彼らが真面目にフィールドワークをし、真剣に考えたことを否定はしない。
しかし、冗長だった。学生諸君の”夏休みの自由研究発表”に付きあわされているのではと閉口したのは筆者だけだろうか。会場から「早く本題の議論を!」という声がでたのも当然だ。
終了後住民たち数人に感想を聞いた。「夢のある計画で実現すればうれしい」、「研究は自由、だけど将来像を考えるのは私たち住民」住民たちの意見は半ばした。

勿論、問題は別のところにある。地域社会のあり様を考えるのは住民自身である。地域再生の主役は住民なのだ。
震災から1年5か月。行政側はこれまで住民の代表も交えた「雄勝地区震災復興まちづくり協議会」を、13回にわたって開催してきたという。そこでは、こうした自分たちの地域の未来像を考える議論は重ねられなかったのだろうか?
例えば、小学校校舎を観光拠点に活用するといった発想は、住民の間から生まれてこそ、実りのある地域おこしにつながるのだ。
行政が住民とともに考えるという方向を模索した形跡はない。住民が自らのあり様を考える途を、行政側が閉ざしたとすれば、それは住民自治の放棄に他ならない。住民が担うべき重要な権能を、安易に外部機関に委託するのも同じく住民自治の放棄と言わざるをえない。

重ねて言う。調査に参加して雄勝が好きになったという学生たちに非はない。ただ研究者の卵である彼らにあえて言っておきたい。住民は決して研究対象ではない。研究者の使命は住民たちの声にじっくり耳をt傾け、彼らに寄り添うことだ。
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会場には住民組織「雄勝地区を考える会」の若きリーダー阿部晃成さんや、水浜地区で手作りの「おがつ新聞」を作りながら住民を支援している石井肇さんの姿もあった。

行政側は各地区ごとの集団移転の候補地と、工事工程案を明らかにした。雄勝地区全体の復興プランをまとめて住民に示したのはこれが初めてである。
住民たちからは、移転候補地は道路、集会所の用地を充分確保できるのか?戻る住民がこんなに少ないのでは、雄勝は高齢者のまちになりかねない。若者が戻れるまちづくりを検討すべきだ。未来会議と銘打っているが、これでは未来へつながる展望は生まれない。こういった意見が次々に出された。
 
石巻市雄勝総合支所の相澤清也(せいや)支所長らが答弁に立った。
しかし、まちづくりを共に考えていこうと繰り返すだけ。今日は共に考えていくための”総決起集会”だ。行政マンとしては、珍しい用語を度々繰り返したが、切迫感は感じられない。
住民たちはこのままでは雄勝のまちが消えていくことを恐れている。一旦区域外に移ると回答した住民も、これなら喜んで帰ってくるようなまちづくり。行政には今このことが求められている。残念ながら、この日具体策は何ら示されなかった。
雄勝の将来像は依然として描けないままだ。ただ、時間はまだある。行政側が明らかにした工程案では、移転候補地の造成が終わるのは、早くても来年度中。住宅の建設、つまり新しいまちづくりが始まるのは早くても2年後だ。

どんなまちづくりを進めるべきか、住民の側から問題提起していきたい。阿部さん、石井さんはそろってこう話した。
住民自治を取り戻すための模索は続く。(了)





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